戦略的資本主義と日本
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
片瀬裕文(I-Pulse取締役副会長)
「戦略的資本主義」は、市場原理を尊重しつつ国の長期的な競争力強化に重点を置く経済体制を指す言葉だ。日本研究に取り組んだアメリカの学者が戦後日本経済の発展を説明する概念として、20世紀末に提唱している。その後の米中の経済政策をこの概念で説明する片瀬氏は、その流れが導く注意点についても解説しつつ、日本の再生を願う。
時間:12分36秒
収録日:2025年11月10日
追加日:2026年1月8日
≪全文≫

●米中における「戦略的資本主義」の流れと注意点


 こんにちは。片瀬裕文です。今回は「戦略的資本主義と日本」というトピックでお話をさせていただきたいと思います。

 最近、政府が企業あるいは産業に直接関与する例が増えています。例えば、ラピダスあるいは水素の普及、またGX全般に関する政府の政策をご覧頂くと、政府の役割が産業あるいは企業の経営の中で非常に重要性を増していることがお分かりいただけると思います。

 このような動きは、もともと中国が先鞭をつけました。2015年に中国は「製造2025」という壮大な国家計画を発表しました。10の重点産業分野を挙げ、これらについて中国は2025年までに製造大国から製造強国になるということを高らかに宣言しました。このような政策で10分野について展開した結果、例えば電気自動車(EV)についてはご案内の通り、BYDやCATLといった企業が世界で最も競争力がある企業になりつつあるという動きがあります。

 これを見て、動きを起こしたのがアメリカです。それまでのアメリカは、基本的に市場経済中心の政策を取ってきたわけですが、バイデン政権になって「CHIPS法」という法律を通し、半導体に対する巨額な助成を決めました。それを引き継いだのがトランプ政権です。トランプ政権はさらにサプライチェーンを独立させるという大きな課題のもとに、国防総省が企業に直接出資をするところまで踏み込んでいます。

 そういう意味では、戦略的資本主義の動きという大きな流れになっているわけですが、こうしたアメリカや中国の流れの中には一つ注意すべき点があると思います。それは、資金を企業や産業に供給することは、全体の中では柱の一つでしかないことです。

 中国の場合、もちろん企業や産業に対するさまざまな助成金を出しています。と同時に人材育成を抜本的に強化して技術者を育てること、あるいはたくさんの企業を競争させて、苛烈な競争の中から絞り込んだ勝者を「ナショナルチャンピオン」に育てる政策を取ってきました。

 例えば電気自動車でいうと、一時期は400社もあったといわれています。中国(政府)は、400社が誕生するところまではある程度支援をしましたが、途中から一気に絞り込みに転じ、競争によって産業競争力の強化を成し遂げたということがあります。


●「アニマルスピリット再生」を主軸としたアメリカ政府


 アメリカの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史

人気の講義ランキングTOP10
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
老子の神髄(7)『老子道徳経』「去用第四十」
緊張や怒りをコントロールするには?老子に学ぶ精神と肉体の関係
田口佳史
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
編集部ラジオ2026(22)「中国古代史」特集紹介!
【10min解説】「中国古代史という知の宝庫」特集の各話紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
インフレの行方…270年の歴史に学ぶ物価高騰期の特徴と教訓
養田功一郎
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博