グローバル環境の変化と日本の課題
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
政治と経済
石黒憲彦(独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)理事長)
アメリカでは再びトランプ氏が大統領に就任し、アメリカ・ファーストのもと大型関税に舵を切る一方、中国は過剰な輸出体制を取っている。加えて、気候変動を踏まえたサステナビリティの議論も進むグローバル環境において、日本はどんな課題を抱え、それをどのように舵取りをしていくべきか。まずは世界の貿易・投資の構造変化について多角的に確認する。(全6話中第1話)
時間:14分10秒
収録日:2025年1月17日
追加日:2025年3月4日
収録日:2025年1月17日
追加日:2025年3月4日
≪全文≫
●貿易投資の構造変化と日本の課題
石黒です。どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうから、「グローバル環境の変化と日本が解決すべき課題」ということでお話をしたいと思います。
大きく3章立てになっておりまして、世界の貿易投資の構造変化がどのようになってきているか。それから日本が直面する課題がどういうものか。主にはこの2つを中心にお話をさせていただいて、最後に私どもジェトロが具体的にどんなことをやっているのかということをお話ししたいと思います。
●さまざまな課題:安全保障、サステナビリティ、人材不足
(このスライドで)今、企業の皆様方にとってどういう課題があるかということを整理させていただきました。1つは、地政学リスクで、経済安全保障の対応をどうしていくのか。それからサプライチェーンですが、これもコロナ禍のときなど、いろいろと大きな動きがありましたが、こういったサプライチェーンの再編をどうしていくのかです。
それから今、アメリカの中ではトランプ大統領の影響もあって逆風が吹いていますが、中長期的にはサステナビリティは変わらないと思っています。トレンドとしては、グリーン・脱炭素(化)、それから人権尊重・デューディリジェンスといったことも企業のリスクマネジメントの1つの大きなテーマになります。
それからデジタル化ということで、新しい価値と市場の創出、データ規制対応、セキュリティ対策といったところは依然、重要な課題だと思います。
一方で、皆様方が深刻にお悩みだと思いますが、人材不足が大きなテーマです。自動化、効率化、プロセス改革をいかにやっていくのか、ダイバーシティをどうやって進めていくのか、外国人材をどう使うかといったところは1つ大きな課題であろうかと思います。
今、環境としてどうなってきているかなのですが、マクロ的には低成長時代に入ってきたという感じがしています。世界経済全体はそれほど大きく新興国が伸びるといったようなことでも必ずしもなく、むしろかなり保護主義的な政策が各国で多く取られるようなことになってきているものですから、全般的に貿易が低調で...
●貿易投資の構造変化と日本の課題
石黒です。どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうから、「グローバル環境の変化と日本が解決すべき課題」ということでお話をしたいと思います。
大きく3章立てになっておりまして、世界の貿易投資の構造変化がどのようになってきているか。それから日本が直面する課題がどういうものか。主にはこの2つを中心にお話をさせていただいて、最後に私どもジェトロが具体的にどんなことをやっているのかということをお話ししたいと思います。
●さまざまな課題:安全保障、サステナビリティ、人材不足
(このスライドで)今、企業の皆様方にとってどういう課題があるかということを整理させていただきました。1つは、地政学リスクで、経済安全保障の対応をどうしていくのか。それからサプライチェーンですが、これもコロナ禍のときなど、いろいろと大きな動きがありましたが、こういったサプライチェーンの再編をどうしていくのかです。
それから今、アメリカの中ではトランプ大統領の影響もあって逆風が吹いていますが、中長期的にはサステナビリティは変わらないと思っています。トレンドとしては、グリーン・脱炭素(化)、それから人権尊重・デューディリジェンスといったことも企業のリスクマネジメントの1つの大きなテーマになります。
それからデジタル化ということで、新しい価値と市場の創出、データ規制対応、セキュリティ対策といったところは依然、重要な課題だと思います。
一方で、皆様方が深刻にお悩みだと思いますが、人材不足が大きなテーマです。自動化、効率化、プロセス改革をいかにやっていくのか、ダイバーシティをどうやって進めていくのか、外国人材をどう使うかといったところは1つ大きな課題であろうかと思います。
今、環境としてどうなってきているかなのですが、マクロ的には低成長時代に入ってきたという感じがしています。世界経済全体はそれほど大きく新興国が伸びるといったようなことでも必ずしもなく、むしろかなり保護主義的な政策が各国で多く取られるようなことになってきているものですから、全般的に貿易が低調で...