サヘル地域をはじめとして、近年、世界各地で多発しているクーデター。その背景や、クーデターとはそもそもどのような政治行為なのかを掘り下げることで国際政治を捉え直す本シリーズ。まず、未来の“if”として台湾でのクーデターを想定し、その発生要因について考える。(2025年7月23日開催:紀伊国屋書店本店トークイベントより、全6話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
クーデターの条件~台湾を事例に考える
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
政治と経済
上杉勇司(早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授/沖縄平和協力センター副理事長)
2.軍の配置を見れば分かる!台湾のクーデター対策とは
2025年10月5日配信予定
3.2・26事件の失敗に学ぶ!? クーデターを成功させるためには
2025年10月10日配信予定
4.タイトル未定
2025年10月11日配信予定
4.タイトル未定
2025年10月11日配信予定
5.タイトル未定
2025年10月17日配信予定
6.タイトル未定
2025年10月18日配信予定
時間:16分36秒
収録日:2025年7月23日
追加日:2025年10月4日
収録日:2025年7月23日
追加日:2025年10月4日
≪全文≫
●クーデターを通して軍と文民の関係を考える
―― 上杉先生、どうぞよろしくお願いいたします。
上杉 お願いします。上杉です。
―― 先生から今ご案内があったように、この『クーデター―政権転覆のメカニズム』です。こちらの本をお出しになられたということで、なぜこのタイミングで、しかも中公新書からだったのだろうかというところです。最初、そこをお聞きしてもよろしいでしょうか。
上杉 はい。クーデターの研究が盛んになるときというのは、国際的な事象としてクーデターがいっぱい起きているときです。
実は私が出した本の前に、同じタイトルで中公新書から、1964年に『クーデター―その成功と失敗の分析』(尾鍋輝彦著)という本が出ています。そのときは新興独立国が多くクーデターを経験していて、国際的にどうしてクーデターが起こるだろうかとか、クーデターの起こる、成功する理由は何だろうかとか、そういう研究が盛んになっていました。
ところが、冷戦が終わって、アメリカの一国中心主義的な覇権ができてくると、そういうクーデターの起こる可能性も減ってきていて、それに伴って関心も薄れていったのだと思います。
ただ、2019年以降、2020年、2021年といろいろなところでクーデターが多発していて、国際秩序が変動している今、こういう時期に、クーデターが現象として現れていて、それをまさに実感している中で、クーデターというものについてまとめて書いてみるべきではないかと思いまして、書くことにしました。
―― このクーデターというものを通して、例えば国内の政治のあり方ですとか、国際政治のあり方なども、ある意味では、このクーデターという現象が究極の姿に近いだけに、そのようなものも見えてくるのかなと思ったのですが、そのあたりは先生、いかがでしょうか。
上杉 そうですね。「平和構築」という分野を研究してきて、いくつか研究書を出したりしていたのですけれど、そこでの最大の疑問は、どうして武力を持っている軍隊が文民の、政権の言うことを聞くようになっていくのだろうかということです。
通常で考えたら、戦車を持っていて、機関銃を持っていて、兵隊を持っている人たちが簡単に政権を倒せるのに、なぜ文民の言うことを聞くのだろうかというところが非常に重要かなと思っています。それを考える上で...
●クーデターを通して軍と文民の関係を考える
―― 上杉先生、どうぞよろしくお願いいたします。
上杉 お願いします。上杉です。
―― 先生から今ご案内があったように、この『クーデター―政権転覆のメカニズム』です。こちらの本をお出しになられたということで、なぜこのタイミングで、しかも中公新書からだったのだろうかというところです。最初、そこをお聞きしてもよろしいでしょうか。
上杉 はい。クーデターの研究が盛んになるときというのは、国際的な事象としてクーデターがいっぱい起きているときです。
実は私が出した本の前に、同じタイトルで中公新書から、1964年に『クーデター―その成功と失敗の分析』(尾鍋輝彦著)という本が出ています。そのときは新興独立国が多くクーデターを経験していて、国際的にどうしてクーデターが起こるだろうかとか、クーデターの起こる、成功する理由は何だろうかとか、そういう研究が盛んになっていました。
ところが、冷戦が終わって、アメリカの一国中心主義的な覇権ができてくると、そういうクーデターの起こる可能性も減ってきていて、それに伴って関心も薄れていったのだと思います。
ただ、2019年以降、2020年、2021年といろいろなところでクーデターが多発していて、国際秩序が変動している今、こういう時期に、クーデターが現象として現れていて、それをまさに実感している中で、クーデターというものについてまとめて書いてみるべきではないかと思いまして、書くことにしました。
―― このクーデターというものを通して、例えば国内の政治のあり方ですとか、国際政治のあり方なども、ある意味では、このクーデターという現象が究極の姿に近いだけに、そのようなものも見えてくるのかなと思ったのですが、そのあたりは先生、いかがでしょうか。
上杉 そうですね。「平和構築」という分野を研究してきて、いくつか研究書を出したりしていたのですけれど、そこでの最大の疑問は、どうして武力を持っている軍隊が文民の、政権の言うことを聞くようになっていくのだろうかということです。
通常で考えたら、戦車を持っていて、機関銃を持っていて、兵隊を持っている人たちが簡単に政権を倒せるのに、なぜ文民の言うことを聞くのだろうかというところが非常に重要かなと思っています。それを考える上で...
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