トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交
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トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
アメリカのトランプ大統領は、2025年5月に訪れたサウジアラビアでの演説で「トランプ・ドクトリン」を表明した。それは外交政策の指針を民主主義の牽引からビジネスファーストへと転換することを意味していた。中東歴訪においてそれを宣言したことが意味するところは何か。トランプの狙いを考える。(全3話中第1話)
時間:6分33秒
収録日:2025年8月4日
追加日:2025年9月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●トランプ大統領の中東歴訪の意義とは


 今回もよろしくお願いします。CSPC(米国大統領制兼議会制研究所)の上級研究員を務める東秀敏です。

 今回の話題なのですけれど、「トランプ・ドクトリンの衝撃、米国第一主義の外交ドクトリンの復活」という題目でお話しさせていただきます。

 まず(実はこの会合では)トランプ大統領がシリアの暫定大統領であるアル・シャラア氏(もとの名前はアル=ジャウラーニー:写真右)と笑顔で握手しているのですが、今のシリアの暫定大統領は、元アルカイダ、シリア支部、そしてイスラム国のシリア支部のリーダーであったわけなのです。このテロリストと、(トランプ大統領の)右側にサウジのMBS皇太子が立っているわけなんですけれど、まさにこの構図というのがトランプ・ドクトリンを象徴する絵になっていると。

 これがなぜこのようになったかということを詳しく説明します。

 まず問題提起です。先ほどご覧いただいた写真の会合というのは、2025年5月にサウジアラビアで会談の一部なのですけれど、ここにおけるトランプ大統領の中東歴訪の戦略的意義とは何かという問題提起をしたいと思います。

 これに対する回答として、トランプ・ドクトリンの台頭と実践が確認されました。トランプ・ドクトリンの台頭と実践というポイントが第1、そして第2に、米・サウジアラビア首脳会議の中身、そしてアメリカ・シリアディールの中身を見ていきたいと思います。


●「平和と繁栄へのシフト」がトランプ・ドクトリンの本質


 まず、その要旨として、トランプ・ドクトリンというのは米国第一主義の外交ドクトリンです。これがすごく重要なテーマになるわけなのですけれど、トランプ・ドクトリンを一言で要約しますと――トランプ大統領本人の演説から引用しますと――自由と民主主義から平和と繁栄、これにシフトするのがトランプ・ドクトリンの本質なのです。

 どういうことかというと、全世界に民主主義を押しつけるのではなくて、黄金時代を一緒に築こうではないかという外交姿勢です。まずこれを広い世界の中で、中東で最初に交渉したことに最大の意義があります。

 まず大戦略のレベルでいいますと、中国、ロシアとの大国間競争において、中東をアメリカ側に引きつける。そ...

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