中国の「なぜ」
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
中国での政治的統治はまず「水の支配」から
第2話へ進む
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
なぜ中国は一つの国として存在し続けたのか。漢字、度量衡、社会インフラといった文化の力に焦点をあてながら、多民族興亡の中を生き延びてきた中国の国家像を示す。(全8話中第1話)
時間:8分32秒
収録日:2013年8月5日
追加日:2014年2月24日
カテゴリー:

●中原で繰り広げられた中国・抗争の歴史


 これから『中国の「なぜ」』『中国とは何か』ということについて6回に分けて話をしてみようと思います。1回目は『なぜ「中国はひとつの国なのか」』というテーマでお話ししてみます。

 中国は本当に巨大な国ですが、たとえばローマ帝国が歴史的にいくつかの国に分解していったように、なぜ中国だけはずっとひとつの国であり続けたのか、その謎についてお話しします。

 我々は通常、中国を「国」と呼んでいますが、中国が国なのか、国家なのか、あるいは集合体なのかは議論があるところです。「中国」という言葉は歴史的に大変古い言葉ですが、我々が今使っているような、中国という「国」を表わした言葉ではありませんでした。皆さんご存知のとおり、中国の王朝というのは、たとえば、秦、漢、元、宋、明や、三国志で有名だった魏・蜀・呉など、漢字一文字で表わされる王朝でした。そういった国々がひとつの大きな力を持つために常に争ってきたという抗争の歴史が、中国の歴史であると言えます。

 そして、中国の文明というのは、黄河文明や長江文明と言われるように、河の文明です。河の周辺、特に黄河流域に住む人たちは「漢」と呼ばれていましたが、この「漢」という字は「水辺、水の近くに住む人」という意味であり、水とは黄河のことで、その中心は洛陽であり、洛陽を中心としてこの一帯は中華ないしは中原(ちゅうげん)と呼ばれていました。この中原を目指して、周辺の部族が攻め込んできて、ある部族が都を建てて王朝として成立し、また違う部族が攻め込んできては前の王朝にとって代わり、それを繰り返してきました。


●なぜ「中原」が中心になり得たのか?


ではなぜ、この中原が中心だったかというと、それは漢字という文字があったからです。中国は広大なので、さまざまな民族がなんとなくそれぞれの文字をつくっていました。おそらく数十、数百の文字や文字に近いものがあったと思います。しかし、似たような文字であっても、コミュニケーションの道具なので、最終的には統一されなければなりません。秦の始皇帝が中国で最初の統一皇帝と呼ばれるのは、実はこの文字を統一したからです。秦は周辺の文字をすべて集め、今日の漢字の原形をつくりました。また秦は、重さや秤などの度量衡、道路の広さなど、いわゆる社会インフラの基本となるようなこともこの時代にまとめ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫