中国の「なぜ」
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背景は第二次大戦後の国際裁判
中国の「なぜ」(5)なぜ「中国は「歴史認識」にこだわるのか」(1)
政治と経済
石川好(作家)
昨今中国、韓国、また米国でも取り沙汰されるようになった日本の「歴史認識」。日中戦争に対する日中の認識の違いを端緒として背景を見つめていく。(全8話中第5話)
時間:7分07秒
収録日:2013年8月5日
追加日:2014年2月24日
 では、今回は『なぜ「中国は「歴史認識」にこだわるのか」』、このテーマでお話をしてみたいと思います。

 我々はいま、新聞を読んでもテレビを見ても、メディアとしては必ず、中国、韓国、あるいはアメリカでも「日本の歴史認識はどうなっているのか」という言葉を聞きます。「歴史認識がどうなっているのか」と言われても、我々は困るわけです。「歴史認識とは一体そもそもなんぞや」ということになってしまうわけです。これは、いつごろ日本に対して問いとして出てきた言葉なのかについてお話ししたいと思います。


●中国と日本で異なる「侵略戦争」の捉え方


 我々は中国と「十五年戦争」と言われる戦争をやりました。これは「宣戦布告をすることのない十五年戦争」と言われたように、満州事変や上海事変などいろいろな局地の戦いを「事変」と言ったりして十五年間続けたわけです。この戦争は、中国から見れば宣戦布告もしていないし、当時の日本に対して中国は脅威ではなかったわけだから、明らかに侵略戦争だということです。つまり、端的に言えば、中国が日本に言っている歴史認識とは、「中国大陸でしでかしたことは侵略戦争でしょ?」「これが侵略戦争であることを認めなさい」ということなのです。

 ところが、直近でも安倍総理が「侵略というのは国によって定義が違う」とか、そういう言い方をするものですから、中国が猛反発している。言ってみれば、そこなのです。つまり、歴史認識というのは、あの日本がやった戦争が侵略戦争であったと認められるかどうかということになってしまっている。

 ところが、日本側では、あの戦争には四つの側面があるから、なかなか侵略戦争とは言いにくいのです。中国大陸でやったことは、たしかに侵略戦争であったと認めてもいいと思います。ところが、ロシアが敗戦ないしは終戦の一週間、10日前に一方的に日ソ不可侵条約を破って入ってきて、そして満州にいた日本の兵隊たちを数十万人も連れて強制連行して、あの戦いが果たして侵略戦争であったのか。あるいは、1941年12月8日のパールハーバーの攻撃から始まるあの戦争を、我々はアメリカに対して「侵略戦争をやった覚えがない」と言いますが、そのことが東南アジア諸国の独立を手助けしたではないかと、このように戦争の側面が多様なものですから、日本側は歴史認識という言葉に対しては非常に答えにくくなっているのが現実な...

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