20世紀前半の日中関係~この歴史から何を学ぶか
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日中戦争はやがて世界の問題に拡大、そして敗戦・・・
20世紀前半の日中関係~この歴史から何を学ぶか(3)
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
本年2015年は戦後70年の節目の年。しかし、中国や韓国ではいまだに反日教育が行われ、日本においても特に現代史の教育の欠如は否めない。歴史認識という価値観以前に、事実理解のギャップに問題があると感じた島田晴雄氏が、このギャップを埋めるべく、20冊以上の文献に目を通してまとめ上げた20世紀前半の日中関係に関する大作講義。(2015年7月7日開催島田塾第126回勉強会島田晴雄会長講演「20世紀前半の日中関係:この歴史から何を学ぶか」より、全3話中第3話目)
時間:15分20秒
収録日:2015年7月7日
追加日:2015年8月6日
≪全文≫
Ⅵ(第5幕) 満州事変と2.26事件
1 政党政治の混迷と陸軍の政治的台頭
―この頃(昭和初期 1924~32年)、内閣の寿命が短い。短命と不安定(以下、北岡分析)

―有権者の増加によって伝統的地盤だけでは勝てない。政権を利用した政治資金調達や選挙干渉も。野党は政権獲得に奔走。そのため首相奏薦に決定的な力を持つ元老の西園寺に接近、反対党のスキャンダルを暴き、軍や枢密院など政党政治に敵対的な集団と提携したり、政党政治否定原理に訴えることも

―護憲三派内閣(第一次加藤高明内閣)は、公約だった普通選挙法が成立する(1925年3月)や否や政友会は倒閣に走り、高橋是清を引退させて田中義一を総裁に迎え入れ、(4月)、革新倶楽部と合体して議席数を増やし(5月)、税制改革をめぐる不一致で内閣を倒したが、加藤に大命が降下してもくろみ外れた

―第二次加藤内閣は、加藤の病没で半年。続いて、憲政会の若槻礼次郎が組閣(1926年1月)。これに政友会は執拗なスキャンダル攻撃。また憲政会の中国政策を無策と攻撃。枢密院の力を借りてこれを倒した(1927年4月)

―こうして成立した田中内閣は人気低迷。第16回総選挙で鈴木喜三郎内務大臣は選挙結果で政権が移動することは天皇大権に反すると政党政治否定論まで。田中内閣は中国政策の転換を訴えたが成功せず、山東出兵を行い、北伐軍と衝突して済南事件(1928年5月)。張作霖爆殺事件(1928年6月)の処理を誤って天皇の不信任を受けて辞職(1929年7月)

―田中内閣の後、民政党(憲政会と政友本党が1927年6月合体して成立)総裁の浜口雄幸が組閣。浜口内閣がロンドン海軍軍縮条約を締結した時、政友会は内閣が海軍軍令部の意見を不当に無視し、統帥権を干犯したと非難。浜口はテロで重傷負って退任。その後の第二次若槻内閣は満州事変を処理できずに閣内不一致で辞職

―これに代わった犬養毅政友会内閣は、民政党の不人気に乗じて第18回総選挙で大勝したが、1932年2月、海軍士官を中心とする5.15事件で倒れた

―このような過激な政争で、政党は自ら国民の不信を招き、政党政治に敵対的な政治集団を力づけた。政党政治の基礎を堀崩したのは政党自身。1930年代、経済が行き詰まり、国防の危機を訴え、満蒙権益の危機を訴えた軍の台頭に政党はとうてい対応し得ず

―事実として政権交代が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建