ロシアのウクライナ侵攻と中国、イラン
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イランを米国へのジャブの当て馬に…中国の中東戦略とは?
ロシアのウクライナ侵攻と中国、イラン(3)中国の中東戦略
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
中国は、アジア最大の軍事超大国であり、アメリカ軍は「中国は2027年までに台湾に侵攻する能力を名実ともに持つ」と警鐘を鳴らしている。その中国が、アメリカにジャブを打つために使おうとしているのがイランである。いざ台湾侵攻のときに、中東でイランに事を起こしてもらって、アメリカ空母機動部隊をくぎづけにしようと、もくろんでいるのだ。さらに中東におけるアメリカの同盟国にも、たくみな浸透工作を行なっている。そしてそれは中東の核戦争の危機を高めかねないものだという。(全5話中第3話)
時間:12分03秒
収録日:2022年2月15日
追加日:2022年3月13日
≪全文≫

●アメリカの空母機動部隊をペルシャ湾にくぎづけに


 皆さん、こんにちは。さて、(前回は)中東におけるロシア、イラン、アメリカとの関わりについて触れましたが、その際、中国についても触れました。

 中国は、もう誰もが見知っているように、世界的な規模において大規模な軍拡(軍備の拡大)を行なっています。数だけでいえばアジア最大の空軍、そして世界で最大規模の陸軍を持っており、また、艦船の数においては世界最大になっている海軍を保有している、軍事超大国であることは間違いありません。

 アメリカのインド太平洋海軍司令長官は、「2027年までに中国は台湾の侵攻に成功する能力を名実ともに持つ」と警鐘を鳴らしいます。そしてアメリカ国防総省は、台湾侵攻の最大の機会はいつか、という問いを発したうえで、中国の軍事力がピークに達し、かつアメリカがまだ中国のピークに達することができない期間は、2025年から2030年の間の5年間だといっています。この2025年から2030年の間こそが、中国の台湾侵攻の危機ではないかという見立てを、米軍の海軍司令長官が述べているわけです。

 一方において、イランとの関係についていえば、中国は台湾有事となった場合に(これは究極的に戦争ということになるわけですが)、イランと、湾岸におけるイランの代理勢力が、中東における各国の石油天然ガスを中心とした海運システム(海上運輸)を脅かし、そしてできればペルシャ湾地域にアメリカの複数の空母機動部隊(戦前の日本風にいうならば「航空艦隊」ということになりますが)をくぎづけにしてもらいたい。

 (アメリカの空母機動部隊を)ペルシャ湾に張りつけておくと、東アジア、台湾における展開能力というものを限定することになります。そのことをイランに期待している。これは大きな要素だと思います。

 中東原油に90%依存している日本ほどではないわけですが、中国は海外からの輸入原油の50%を中東に依存している現実があります。すなわち中東の覇権国であるアメリカの影響力の減少、あるいは影響力の排除というのは、(中国にとっては)いわば細くて非常に長い原油の供給ルートを保護する意味もあります。シーレーンが切実なのは、何も日本だけではありません。

 中国にとっても、自国の産業、あるいは軍需機構との関係で必要な原油や天然ガスの安全なシーレーンを維持しようという問題意識...

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