ロシアのウクライナ侵攻と中国、イラン
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
プーチンは「ウクライナなくしてロシアなし」と考えている
ロシアのウクライナ侵攻と中国、イラン(4)プーチンの論理
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
山内昌之氏は、プーチンの行動の原点は、1991年のソ連の解体によって、ロシア帝国、あるいはソ連の栄光や威信がピリオドを打ったことに対する「トラウマ」にあるという。大国ロシアの歴史的役割を回復することが自分の仕事だとプーチンは考えているというのだ。それゆえプーチンは、「近い外国」にアメリカやNATOが浸透することは許さない。しかし独裁者の常として、プーチンは「オーバープレイ(強く出過ぎる)」に陥る問題を抱えるのである。(全5話中第4話)
時間:12分31秒
収録日:2022年2月15日
追加日:2022年3月13日
≪全文≫

●ソ連解体の「トラウマ」が、すべての出発点


 皆さん、こんにちは。中東における中国のプレゼンスは、大変目立つ形で進行しております。
 
 いずれにしても、中国とロシアは、イランを陰に陽に助けているという現実があります。これらの2つの大国、ロシアと中国は、中東におけるアメリカの力を弱め、そして危うくさせるパートナーとして、イランを必要としているのです。

 バイデン政権に必要なのは、これに対抗する戦略です。この3つの国に対して戦略性を持たずに譲歩したり、あるいは妥協したりということはないはずですが、戦略というものがアメリカには感じられない。ロシア、中国、イランは、そこに対して、いわば遠慮会釈なく事実上の三国同盟によって切り込んできている。しかも、(中東における)アメリカの最大の同盟国であるサウジアラビアやUAEにさえ、入り込んでいるということです。

 ただ、三国同盟の中で一番脆弱(ぜいじゃく)なのは、やはりイランであることは間違いありません。従って、アメリカはまずイランを、中国から、あるいはロシアから引き離すにはどうしたらいいのかを考えなければならない。それが最大の戦略的な構図になるわけです。少なくとも考えうる選択として、トランプ政権が脱退した「ウィーン最終合意」のJCPOAへの復帰、あるいはその見直しぐらいから始めるという具体的なシナリオが挙げられるでしょう。

 いずれにせよ、三国同盟による中東政策は、大変巧妙にできておりますが、彼らの中東政策や中東への戦略的な接近が、比喩的に「備えあれば憂いなし」だとすれば、バイデン政権や、あるいは、もっとある意味で楽観的な日本政府などが、「備えあれば憂いなし」というよりは、「備えなければ憂いなし」というような状況にならないことを、私としては切に願っている次第です。

 こういう観点からプーチンの現在のウクライナ政策を、もう1回、中東も触れながら考えてみますと、2014年にプーチンがクリミアに侵攻した後、当時のアメリカの(民主党政権の)国務長官のケリーは、「21世紀に、19世紀のようにでっち上げた、捏造(ねつぞう)した口実で他国を侵略する振る舞いは許さない」と語っていますが、許さないといってもそういうことには頓着せずにどんどん物事を進めていくのがロシア、とりわけプーチンのやり方です。

 こうしたプーチン、ひいてはロシアのある種の臆...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその2
『イリアス』の主人公アキレウスの怒りは何を意味するのか
納富信留
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤