≪全文≫
Ⅰ はじめに
―戦後70年、各地で70周年記念行事
―安倍70年談話発表の予定、中国、韓国など強い関心
―中国、韓国、歴史認識で安部政権牽制
―中国の愛国(反日)教育、韓国の慰安婦問題・反日教育増幅
―日本:現代史(とくに日中、日韓関係)教育の欠如
―”認識”という価値観問題の前に、事実理解のギャップ
―事実の理解を共有してこそ対話の可能性
―今日はそのギャップを埋めたい
―20世紀前半:1894年~1945年。日清戦争の勃発から日本の太平洋戦争・日中戦争敗戦まで
―この期間、日本は10年おきにawayの大戦争
・日清戦争
・日露戦争
・第一次大戦
・満州事変
・日中戦争
・太平洋戦争(第二次大戦・日米戦争)
○1894年~1914年まで(国家発展の精一杯の挑戦、日中の相互理解の進展)
―日清戦争:ロシアの脅威を防ぐため、清の支配を排除して韓国独立確保する後発帝国主義国としてのギリギリの挑戦。清は日本で西洋文明を学び、明治維新の知恵を学ぶ良き関係
―日露戦争:英国はじめ諸国(清も)の支援を確保して、軍事強国に挑戦して辛勝。負けぬ内の講和。政治の知恵が主導した賢い戦争。韓国併合は帝国主義の必然とはいえ、適切だったか?
○1915~1945まで(戦争拡大と泥沼化の悪循環)
―第一次大戦で漁夫の利を得て列強化。大隈内閣の21ヶ条と山東占領利権化。反日、抗日運動
―満州事変。現地の軍事主導。陸軍中央は追認。内閣の不拡大方針反古。政治制御喪失
―日中戦争。侵略増幅・激烈化(第二次上海事変、南京事変など)。政治崩壊。内閣編成すら困難。政治の機能不全。その象徴が近衛大政翼賛会。仏印進駐が米欧連合を刺激。東亜新秩序に米国(機会均等と市場開放主義)が反撥
―日米戦争:情報、分析、理解不足。判断と重大な選択の誤り。膨大な日中など国民の損害
○帝国主義時代、利益線の論理はある程度認められるとしても、なぜ、日露戦争の知恵と教訓をその後に生かせなかったのか? 韓国併合は自制できなかったのか? なぜ際限のない拡張主義に陥ったのか
○中国は清帝国の崩壊から新秩序を生み出す過程で、混乱、苦闘を重ねた
孫文の政治の発展段階説:軍政、訓政、憲政によれば、中国は1948年に一度、憲政を試みたが、また共産軍政に戻り、そして今なお共産党一党独裁の訓政の時代にある。そうした試行錯誤に苦しむ中国を帝国主義の論理と力で蹂躙して良いのか? 隣国の努力を理解し、隣人の思いを尊重する態度をいかに養うか
○軍部の問題か? 政治の失敗か? 民主主義(国民の選択)は機能したのか? 情報(メディア)は機能したのか?
○失敗と誤りの経験から何を学ぶか? これからにいかに生かすか? より良き未来を創るために歴史の経験から何を学び、何を生かすか皆で考える材料を提供できれば望外の喜び
○講義はひとつの歴史絵巻。全七幕のストーリー。20冊の書物と数十点の文献。これまでにない準備。内容が多いので、やや早送りの映画?を楽しんで聞いてもらいたい
Ⅱ(第1幕)日清戦争
1.歴史的、地政学的背景
―地球儀大観:18~19世紀、英国から始まる産業革命、欧州の工業力飛躍的に上昇
国力:経済力、軍事力の飛躍的強化
新世界と旧世界の力の大規模な逆転
―旧世界の門戸開放迫る。植民地化もしくは開港、通商条約
インド、アフリカ、中東、アジア、中国
中国:アヘン戦争、アロー号事件
日本:黒船
―中国は3000年の文明史、儒教、道教の下になっている孔子の論語は2500年前
―中国漢民族は文化に誇りと自信:
2500年間に大小28~35の王朝、うち漢民族の王朝は5
しかし200~300年のうちには漢文化に呑み込み、溶解する
―華夷思想(北狄、東夷、南蛮、西戎)
―国境・条約より文化・文明で秩序づけ:冊封、朝貢外交
―西欧文明の衝撃:アヘン戦争。西欧流外交の洗礼、国境、条約
―19世紀:The Great Game: 大英帝国の世界支配に、台頭するロシア帝国が挑戦
大英帝国の権益侵食の脅威:
欧州:東欧、中欧、中欧アジア、トルコさらに南下して中東も視野
ロシア東進の脅威、シベリア鉄道
―日本の台頭:黒船、開国、文明開化、西欧文明の急速な吸収:20年間の奇跡的転換
明治維新:急速、大規模、無血革命、封建制から立憲君主制へ
西欧型文明国志向(脱亞入欧)(大久保利通、ナポレオンのフランスショック)
富国強兵:中央集権国家機構、軍隊、殖産興業(前田正名)、教育
―帝国主義世界の脅威の認識と国家戦略の構想
2 戦争前史
―1871年、日本は清と日清修好条規を締結。日清双方にとり最初の平等条約
―1876年、日朝修好条規を締結し、日本は朝鮮を開国させた
―清はダブルスタンダード。朝鮮を朝貢国(属国)のまま他の...


