戦後70年の歴史認識~中韓の意図と平和国家日本
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本批判で国際的地位向上を図る外交戦略が中韓で常態化
戦後70年の歴史認識~中韓の意図と平和国家日本(1)中国と韓国との関係
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
中国や韓国が、日本の戦争行為を批判し続けるのはなぜなのか。なぜ官民挙げて行ってきた日本の謝罪は届かないのか。歴史学者・山内昌之氏は、そこに日本と中国・韓国の間にある歴史認識の特徴があると言う。中国や韓国にとって歴史は「教え」であり、数字や実態のリアリティよりも、政治利用の有効性が重要なのだ。(前編)
時間:13分06秒
収録日:2015年4月22日
追加日:2015年4月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●日中韓には歴史認識に対する隔たりがある


 皆さん、こんにちは。本日は、戦後70年の歴史認識について話してみたいと思います。

 ご承知のように、今年は第二次世界大戦、日本が敗戦・終戦を迎えてから、ちょうど70年になります。この70年を迎えるにあたって、安倍総理大臣は談話を発表しようとしています。その内容について、関係諸国、特に近隣の中国と韓国から、さまざまな意見、あるいは彼らなりの注文がついているということは、ご案内の通りです。

 確かに世界のどの国民にも、自由に歴史を解釈する権利があります。しかし、自由に歴史を研究できるような政治体制の国ばかりではありません。自由に歴史を学び、解釈し、発言する権利を持つ政治体制は、公的なイデオロギーや公権力の厳しい統制によって、国民の歴史認識や歴史観を上から支配することが多いのです。

 他方で、事実というよりも、強烈な思い込み、あるいは誇張などを含めた物語として歴史をつくる国も存在します。あえて申すならば、非常に厳しく、そして鋭い党内闘争を日々重ねているような国における中国共産党という支配政党の権力のあり方があります。あるいは韓国社会でも、日常的に私たちが目にする非理性的と思われるような非常に強い世論が時々沸き起こってきます。


●外交に持ち込まれる中国・韓国の歴史解釈


 こうした中国や韓国の社会における歴史解釈のあり方や歴史との距離感は、非常に独特なものがあります。特に私たちにとって重要なのは、彼らが日本の近い過去、近過去を常に批判し続けるということです。日本を常に批判し続けることで、彼らは国内的な権力基盤を強化し、あるいは国際的な地位を向上させる。こういう形で、自分たちに有利なように勝負を図る。このために、歴史を外交に持ち込むということが常態化しています。

 あえて申しますと、自分たちについては、善行や美しいこと、美辞をもっぱら力説し、日本については誤ったこと、あるいは悪事をことさらに強調する中国や韓国の姿勢を見ていると、唐代の歴史家である劉知幾 (リュウチキ)という人が書いた『史通』の、特に巻の7にある論説を、私はいつも思い出してしまいます。

 劉知幾は、論語の教えというのは何かを論じるとき、やや厳しく論語のことを定義しています。劉知幾によると、父親が悪事を働いても子どもはその悪事を隠す、そこにこそ正直...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
国際地域研究へのいざない(1)地域研究の意味とイスラエル研究
なぜ経済学で軽視されてきた「地域研究」が最高の学問なのか
島田晴雄
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
インフレの行方…歴史から将来を予測する(6)高市政権誕生の影響
ポイントは財政悪化よりインフレ?…高市政権でどうなるか
養田功一郎
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
新撰組と幕末日本の「真実」(1)近藤勇…教養人の素顔と日野宿本陣
近藤勇と日野宿本陣…多摩の豪農たちの財力と教養力の凄さ
堀口茉純