中国の「なぜ」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
中国の漢字を勝手に読み替えた日本は知的所有権の略奪者?
中国の「なぜ」(7)文化的側面からの日中のズレ
尖閣諸島国有化に何故中国はあれだけの反応を見せたのか。日中の最大の文化的共通点である「漢字」を例に、両国間に積み重なる歴史的誤解を指摘する。(全8話中第8話)
時間:7分28秒
収録日:2013年8月5日
追加日:2014年2月24日

●中国の漢字を勝手に読みかえて使用した日本


 前回、「なぜ日中関係は上手く行かないのか」というテーマで話をしたときに、戦後の日中関係のズレを話しました。今回は、文化的な側面からもこれをさらに考えてみたいと思います。

 ご存知のように、中国と日本の文化的な最大の共通点は、「漢字」という中国発の言葉を日本人、日本文化が多く使っているということなのです。

 そこで問題なのは、中国ではいま使われている漢字の原形というのは、秦の始皇帝の時代に文字が統一されて、変遷を経ていまの略字的な漢字になるまで非常に長い時間がかかっていますが、とにかく漢字は漢字としてある。

 しかし一方で、日本は実は、一つの民族でありながら、日本書記や古事記が突然、文字を使って出てきた。日本という国の存在は既に紀元前から魏志倭人伝のなかに出てくるわけです。邪馬台国という名前で卑弥呼とか、そういうのが出てきています。

 ところが、どんな民族でもそうですが、一つの文字を持つにあたっては、象形文字のようなものからだんだん進化して、いまの文字になっていくのですが、日本は突如として、古事記や日本書紀で、漢字で世界史、歴史にデビューするわけです。つまり、日本という国があるということは、それよりも数百年も前に中国の歴史書に出てくるのですが、突如として文字を持って出てきてしまう。

 ところがそれが問題で、渡来人が持ってきた漢字を何とか中国で使われているような読みではなくて、中国で使われている意味と、その時代の日本で使われている意味の両方を入れ込んだ漢字の使い方にしてしまったということです。つまり、言ってみれば、文明や文化が一番苦労するのは、どうすれば文字を持てるのかということで、日本列島に住む日本人たちは中国の文字を自分のものにして、勝手に読みかえてしまった。ある意味で、今風に言えば、「知的所有権の最大の略奪者」という言い方ができると思います。


●自分流に加工してきた日本の歴史は今日まで続いている


 問題はそこにあって、そこから先、日本はどうしても中国の文字を使いながらも違う読み方をすると同時に、それを超えたものをつくらなければいけないということで、のちに平仮名や片仮名というものを入れ込んで、日本語というものをつくった。つまり、「漢字から離脱する」という歩み方を日本人はするわけです。ここが中国と日本の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ