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相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

世界を混乱させるトランプ関税攻勢の狙い(1)「相互関税」とは何か?

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
トランプ大統領は、2025年4月2日(アメリカ時間)に貿易相手国に「相互関税」を課すと発表し、「解放の日」だと唱えた。しかし、「相互関税」の考え方は、まったくよくわからないのが実状だ。はたして、トランプ大統領がめざすものとは何なのか?これまで第一次政権も含め、どのような関税政策が採られてきたのか?そして、相互関税の影響とは?第1話では、「トランプ関税」を総覧していく。(全4話中第1話)

※この講義は緊急配信のため、講義テキストとしてレジュメを添付します。講義内容と一部異同もありますので、ご了承ください。
時間:12:48
収録日:2025/04/04
追加日:2025/04/10
≪全文≫
Ⅰ. 見えてきたトランプ関税攻勢大戦略

・4.2.「解放の日」。

・アメリカの開放政策は、世界諸国にアメリカの富をむしりとらせた。

・今こそ、世界諸国が奪い取った分を取り返すときだ。

・世界中の国々にトランプ関税がどのような影響を持ち、どんな帰結になるのか?

・企業や国はどうすれば良いのか、戦々恐々。

・トランプ関税戦略は、あたかも、現代アメリカ版の「関税による万里の長城」?

・トランプ氏は4.3.に関税戦略を説明?

・まだ、その全貌と真意は明確でない。

・皆で考えよう


Ⅱ. トランプ関税ダッシュ;第一ラウンド

・トランプ大統領は、第二次政権の大統領に就任するはるか前から、自らを”I am a tariff man”と称し、関税戦略を広範に推進すると公言していました。

・彼は関税は”美しい”と称して、いわば経済的武器として関税を多用する構えを見せていました。たとえば、パナマにパナマ運河の利用特権を供与させるためにも、または、デンマークにグリーンランドを譲らせるためにも関税をちらつかせました。トランプ氏は関税を経済政策というより脅しの道具として使う性癖がありました。

・あるいは、コロンビアからの不法入国者を国外退去させる時に、コロンビアが退去命令に従わなければ高率制裁関税をかけると脅かしてコロンビア政府を屈服させました。

・トランプ大統領は、2025年1月20日に就任するとすぐ、多くの国々に関税を課税すると発言し、実際、精力的に大統領令で特定の国々に関税引き上げの発令を開始しはじめました。それなりに経済政策として利用しはじめたのです。

・最初の標的になったのは、アメリカと国境を接するカナダとメキシコでした。

・トランプ氏は、これらの国々からは多くの不法移民が国境を超えてアメリカ国内に侵入しており、また、人々の健康を害する麻薬フェンタニルがカナダとメキシコから大量に流入しているとして、25%という高率の関税をかけると発表しました。

・カナダはアメリカと長い国境を接しているので、貿易量は多大ですが、不法入国者や麻薬は少ないとしてトランプ政権に反論し、報復措置を検討すると発表しました。

・メキシコ大統領は国境管理を厳格にして不法入国者を制限すると発表したので、トランプ氏はこの両国への25%関税の執行を1ヶ月遅らせることにしました。


Ⅲ. 第二ラウンド:中国、EU

・中国...
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