トランプ発貿易戦争
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世界の歴史に見る覇権争いとその結末
トランプ発貿易戦争(6)覇権闘争はどこに向かうのか
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
覇権国家が他国に追い上げられると往々にして戦争が起きる、と島田晴雄氏は言う。現に、アメリカと追い上げる中国の間には、武力ではないものの熾烈な経済戦争が起きており、その背景には中国の歴史をかけた「夢」がある。(全6話中第6話)
時間:9分16秒
収録日:2018年10月11日
追加日:2018年11月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●覇権国が追い上げられると事件が起きる


 では、米中はどうなるのかというと、こういうことなのです。アメリカは覇権国です。圧倒的な力を持っています。世界史を振り返っても、圧倒的な力を持っている国が次の国に追い上げられると、いろいろな事件が起きていることが分かります。

 2000年以上前にこういう事件がありました。ギリシャでスパルタがアテネを追い上げました。この時、ツキディデスという思想家が、「必ず戦争になる」と言ったのです。これを「ツキディデスの罠」と言います。それ以降、世界の政治学者がずっと調べているのですが、こういう覇権が脅かされる危機は、歴史上何十回とあったのですが、半分ほどは本当の戦争になっているのです。

 アメリカは第二次世界大戦後の世界の覇権国です。それまではイギリスでした。実はイギリスは覇権国の時に、ロシアが追い上げたのです。これは19世紀のことで“The Great Game”といいます。ロシアのロマノフ王朝が、どんどんどんどん近隣諸国を吸収して、南下していきました。トルコもやっつけて、とうとう中東まで入っていったのです。中東は、イギリスの生命線なので、イギリスは非常に警戒して、ありとあらゆる手段でロシアと対決した。


●日露戦争はイギリスとロシアのGreat Gameのおかげで勝利


 実は、日本が日露戦争を行ったことも非常に関係しているのです。ロシアはシベリア鉄道を敷いて、どんどん東進します。一方、イギリスはインド洋から南シナ海を支配しており、インドは植民地で、中国も事実上の植民地です。港はイギリスが持っているという状態です。そこへ、陸からロシアが来ると、イギリスは背後からやられるので困るわけです。そこで、イギリスはフランスと組んでなんとかしようと考えたのですが、フランスはロシアの同盟国でした。ドイツと組もうとしても、ドイツはそんなことには付き合いたくないという状態です。そうしたら、東に日清戦争で見事に勝った新興国がある。陸軍も海軍も強そうだ。この国と組もうということになって、日英同盟をつくったのです。ロシアは当然南下して、シベリア鉄道から朝鮮半島を狙いますから、結局、日露戦争となったのです。

 その時、陸軍が圧倒的に強かったロシアは、黒海から黒海艦隊を出そうとしたのです。そうしたら、イギリスが海峡を封鎖したため、出ることができませんでした。しょうがないという...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー
国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?
垂秀夫