トランプ発貿易戦争
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世界の歴史に見る覇権争いとその結末
トランプ発貿易戦争(6)覇権闘争はどこに向かうのか
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
覇権国家が他国に追い上げられると往々にして戦争が起きる、と島田晴雄氏は言う。現に、アメリカと追い上げる中国の間には、武力ではないものの熾烈な経済戦争が起きており、その背景には中国の歴史をかけた「夢」がある。(全6話中第6話)
時間:9分16秒
収録日:2018年10月11日
追加日:2018年11月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●覇権国が追い上げられると事件が起きる


 では、米中はどうなるのかというと、こういうことなのです。アメリカは覇権国です。圧倒的な力を持っています。世界史を振り返っても、圧倒的な力を持っている国が次の国に追い上げられると、いろいろな事件が起きていることが分かります。

 2000年以上前にこういう事件がありました。ギリシャでスパルタがアテネを追い上げました。この時、ツキディデスという思想家が、「必ず戦争になる」と言ったのです。これを「ツキディデスの罠」と言います。それ以降、世界の政治学者がずっと調べているのですが、こういう覇権が脅かされる危機は、歴史上何十回とあったのですが、半分ほどは本当の戦争になっているのです。

 アメリカは第二次世界大戦後の世界の覇権国です。それまではイギリスでした。実はイギリスは覇権国の時に、ロシアが追い上げたのです。これは19世紀のことで“The Great Game”といいます。ロシアのロマノフ王朝が、どんどんどんどん近隣諸国を吸収して、南下していきました。トルコもやっつけて、とうとう中東まで入っていったのです。中東は、イギリスの生命線なので、イギリスは非常に警戒して、ありとあらゆる手段でロシアと対決した。


●日露戦争はイギリスとロシアのGreat Gameのおかげで勝利


 実は、日本が日露戦争を行ったことも非常に関係しているのです。ロシアはシベリア鉄道を敷いて、どんどん東進します。一方、イギリスはインド洋から南シナ海を支配しており、インドは植民地で、中国も事実上の植民地です。港はイギリスが持っているという状態です。そこへ、陸からロシアが来ると、イギリスは背後からやられるので困るわけです。そこで、イギリスはフランスと組んでなんとかしようと考えたのですが、フランスはロシアの同盟国でした。ドイツと組もうとしても、ドイツはそんなことには付き合いたくないという状態です。そうしたら、東に日清戦争で見事に勝った新興国がある。陸軍も海軍も強そうだ。この国と組もうということになって、日英同盟をつくったのです。ロシアは当然南下して、シベリア鉄道から朝鮮半島を狙いますから、結局、日露戦争となったのです。

 その時、陸軍が圧倒的に強かったロシアは、黒海から黒海艦隊を出そうとしたのです。そうしたら、イギリスが海峡を封鎖したため、出ることができませんでした。しょうがないという...

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