トランプ発貿易戦争
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アメリカの追加関税に中国は「以戦止戦」
トランプ発貿易戦争(3)アメリカの制裁・中国の以戦止戦
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
独特の経済観を持つトランプ大統領は、知的財産権侵害という理由で中国制裁に動き出した。第1回米中通商協議の一方的な要求を一時はある程度のんだ中国だが、「以戦止戦」と徹底的に戦う姿勢に転じた。その経緯と、その後の制裁・報復関税の応酬を追う。(全6話中第3話)
時間:9分33秒
収録日:2018年10月11日
追加日:2018年11月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●中国の知財侵害を主張するナヴァロとUSTRの調査結果


 さて、トランプ氏は「中国をやっつけてやる」と言い出したのです。実は、「中国は知的財産権を侵害している」ということをずっと言い続けているピーター・ナヴァロというカリフォルニア大学の先生がいたのです。私はこの人の本をいくつか読んでいますが、この人は、ハーバードで経済学博士を取得していて、少し考え方が偏っています。

 ナヴァロ氏があまりにそういうこと言うので、トランプ氏はそれを信じ切っているのです。彼はトランプ政権の経済貿易政策の担当補佐官だからです。そこで、USTR(アメリカ合衆国通商代表部)が、中国はどれほどいけないかということの調査に入りました。

 その結果、少なくとも4つほど中国はとんでもないことをやっていると報告されています。例えば、アメリカのハイテク企業が中国に投資をすると、「技術を移転するように。そうでなければ営業させない」と圧力をかけるというものです。それから、技術移転契約をするときに、中国の企業にはやらないようなことをアメリカの企業にはやったりするというものです。そして、先端技術を持つアメリカの企業を買収するのですが、なんとその買収の資金は中国政府が支援していると、USTRが言っているのです。これはもう不公正極まりないことだ、というわけです。それから人民解放軍が、そうしたハイテク企業の中にサイバー攻撃で入って、秘密を盗み出すということもやっているというようなことを、アメリカは主張しています。だから、中国を懲らしめるのだということなのです。


●一方的な米中通商協議に中国は一度、譲歩


 2018年5月に第1回の米中通商協議をしようということで、政権の中枢の人は皆、出掛けました。代表はスティーブン・ムニューシン財務長官で、その他、ロバート・ライトハイザー通商代表、ウィルバー・ロス商務長官という顔ぶれです。そこで、こういうことを言ったのです。

 “今から12カ月以内に1,000億ドルのアメリカの赤字をなくすように。さらに、その先の12カ月以内に、もう1,000億ドル、合わせて2,000億ドル(日本円で約22兆円)の赤字をなくす。中国は鉄鋼などの過剰生産につながるあらゆる補助金を全面撤廃するように。中国は、アメリカ企業から不当に技術を獲得する全ての手段を撤廃するように。中国は、アメリカが輸出規制法を発動したときに賛成するよう...

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