「同盟の真髄」と日米関係の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「ラティスライクな同盟」は中国の封じ込めを意味しない
「同盟の真髄」と日米関係の行方(5)中国封じ込めか戦略的互恵関係か
杉山晋輔(元日本国駐アメリカ合衆国特命全権大使)
「米中新冷戦」という言葉も生まれ、中国を囲い込む上で、ある意味では「中心的存在だ」という見方もある日本。しかし、日米を中心とする「ラティスライク」な協調のあり方は、決してそのような「囲い込み」を目ざしたものではない。互いに対話を重ね、積極的にエンゲージ(関与)していき、より良い関係の構築を目指す。そのために何が必要か。これからの対中国のスタンスを解説する。(全8話中第5話)
時間:10分41秒
収録日:2024年4月23日
追加日:2024年7月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●ようやく本格化したアメリカのウクライナ、イスラエル、東アジア支援


 (岸田総理が)演説をしたとき、下院のフリーダム・コーカス(下院の保守派の議員連盟)の人だといわれる、(下院)議長になったマイク・ジョンソンさんが横を向いて拍手をしなかったという話を先ほど(第3話で)しました。

 それで、岸田総理の演説があったからというわけではきっとないのだろうと思いますけれども、それからしばらくして、(アメリカの予算が、ようやくできました)。

 (2023年)10月になってアメリカは予算ができていなかったのです。つなぎ予算でやって、多くのところは(2024年)2月、3月でできましたけれど、われわれから見てみると、肝心のウクライナ支援、イスラエル支援、そして東アジアに対するいろいろな支援はずっとできなくて、つなぎつなぎでずっとやってきています。

 このウクライナ支援やイスラエル支援やインド太平洋の支援ですが、ウクライナだけで608億ドルです。それから、イスラエルが264億ドルです。インド太平洋は台湾が中心なのでしょうけれど、これが81億ドルという非常に大きな額の対外支援です。これがやっと先週の金曜日(2024年4月19日)に通りました。マイク・ジョンソンさんがそこでイエスと言ったからなのですけれど。

 ちなみに、ドナルド・トランプさんもそれはイエスと言っていて、これが通った。(ただ、なかなか通らなかったので、)多くの人からは、トランプさんが影響力を持つ下院の共和党のいわゆる右派、フリーダム・コーカスの人たちが反対していたといわれていますけれど、私は必ずしもそんなに単純ではないと思います。

 フリーダム・コーカスは日本の派閥と全然違います。だいたい派閥の事務所がないし、もちろん事務局長もいないし、何人いるかというと、はっきり言って40人ぐらいですけれど、院内で会合を持つこともないですから。アメリカは基本的にみんなインデペンデントなのです。ただ、考え方はたしかに近いのかもしれません。

 偶然か必然かは知りませんけれど、トランプさんが舵を切り、ジョンソンさんも舵を切る。それはイランの攻撃があったからなのかもしれません。あるいは岸田さんがああいう演説を立派にされて、それが心に響いたとすれば、たいしたものだと思います。そうではないのかもしれません。それは分かりません。

 ただ、イランの攻撃の前後...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大人の学び~発展しつづける人生のために(2)熟達と遊び~好奇心から始まる学び
好奇心はコントロールが効かない…遊びの重要な条件とは
為末大
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将