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同盟とはともに守らねばいけないものを命を懸けて守ること

「同盟の真髄」と日米関係の行方(3)同盟の本質と日本の役割

杉山晋輔
元日本国駐アメリカ合衆国特命全権大使
概要・テキスト
“You are not alone. We are with you.”――2024年4月に訪米した岸田首相は、米国連邦議会での演説でアメリカとの連帯の意思について、そう表現した。大見得を切ったようにも見えるこの表現には、緊張が高まる国際情勢を踏まえた日米同盟への覚悟があった。今あらためて、同盟の本質とは何かを考える。(全8話中第3話)
時間:10:31
収録日:2024/04/23
追加日:2024/06/26
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≪全文≫

●岸田首相が“We are with you”と言い切ったことの意義


 ここまでくると、共同声明の表現などがいろいろあります。それから、岸田さんの40分くらいの議会演説も非常に立派な英語での演説で、15回のスタンディングオベーションがあったということで、私は現場にはいないので、もちろんビデオで見ただけでありますけれど、非常に感銘を受けました。

 その中でも1つ、岸田さんの演説の中で象徴的なところとしては、“I am here to say that Japan is already standing shoulder at shoulder with United States of America, you are not alone. We are with you.(私は次のことを言うためにここにきました。日本はアメリカとすでに肩と肩を並べてやってきています。あなたたちは1人ではない。私たちは常にあなたたちとあります)”という、英語も非常にクリスプな(歯切れ良い)、いい表現だと思います。

 ここは、そのあと少し展開があったので、あとでお話します。

 ウクライナ(についての発言)の時には、苦虫を噛み潰したような顔ではないけれど、一部の人がスタンディングオベーションで、例えば、カマラ・ハリスさんはニコニコしてワッと立って拍手をしている時に、下院議長のマイク・ジョンソンさんは、こちらの方を向いて全然拍手もしないで、スタンディングオベーションもしないのです。「ウクライナについての支援が必要だ」と言った時には、ずいぶんの人が立ち上がりましたけれど、共和党のいわゆる「フリーダム・コーカス」といわれる人たちは立たなかったのです。

 しかし“I am here to say that Japan is already standing shoulder to shoulder with United States of America, you are not alone, we are with you.”と(岸田首相が)言った時は、本当に全員が立ち上がって、マイク・ジョンソンさんもカマラ・ハリスさんも、総理の後ろで立ち上がって万雷の拍手をされました。

 英語も非常にいい英語だったと思います。一部の批判的論者の中には、「ここまで大見得を切ってしまって大丈夫か」と思った人はきっといるでしょうが、私は思いませんでした。こういうふうに、グローバルパートナーになると言ったわけです。

 もちろん、先ほど(第1話で)お話しした、韓国、朝鮮半島、台湾、それから台湾海峡は当然かもしれませんし、世界の隅から隅まで...
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