半導体から見る明日の世界
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
プラザ合意、日米半導体協定…米国に屈した負の半導体史
半導体から見る明日の世界(8)日米半導体戦争の歴史と教訓
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
1980年代、日本は経済バブルのピークを迎えると同時に、DRAMの半導体ではほぼ世界を制覇するほどまでに発展した。敗戦の壊滅状態からわずか数十年で日本の経済力はアメリカに次ぐ世界第2位の地位を築いた。そして、半導体分野で日本に追い越されたアメリカは、一転して日本叩きに猛進した。日米半導体戦争ともいわれるもので、そこで行われたのが有名な「プラザ合意」である。それは、現在の米中対立の中国への締めつけの比ではなかった。今回は日本の半導体の歴史をひも解きながら、日米半導体戦争の教訓を学ぶ。(全12話中第8話)
時間:12分03秒
収録日:2023年7月14日
追加日:2023年10月16日
≪全文≫

●世界を制覇した日本の半導体の歴史


 さて、そこで現代までのところを全部見ましたが、ちょっと歴史を振り返ってみたいと思います。

 1980年代の後半に日本の半導体産業が世界市場を席巻して、それまで世界市場を支配していたアメリカを追い上げて、アメリカの半導体産業を窮地に追い込みました。そういう時代があったことは皆さんよくご存じだと思いますけれども、しかしその後、日本はもう坂を下るように凋落していって、今は半導体の「主戦場」といわれているロジック半導体は、ほとんど日本では作れないのです。

 そこで、なぜそのようなことが起こってしまったのかということを、まず一緒に考えておきたいと思います。それを理解できないと、次に日本がどのようなことができるのかというヒントも得られないと思います。

 では、1980年代に日本が世界を席巻したその前に、どのようなことがあったのかですが、これは皆さんよくご存じのように、1960年代、1970年代と日本は高度成長しました。その時、1979年にアメリカのエズラ・ヴォーゲルという学者が『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を著しました。これを、「日本がナンバーワンだ」と言っている人がいますが、そうではなく、アズというのは仮定法ですから、「もし日本がナンバーワンだったらどうする」ということをアメリカに対して言った本なのです。

 そのように、世界が大騒ぎするほど日本がすごかったのです。生産財については石炭から始まって、鉄鋼、造船、機械とどんどんきて、最後は半導体まできたのです。アメリカはまさか日本が半導体までくるとは思わなかったのです。そして、日本の半導体企業はあまりにもすごくて、どんどんシェアを伸ばしてアメリカのシェアを食ってしまったわけです。

 1978年に福田赳夫首相が渡米した時、アメリカの業界の人たちが寄ってたかって、日本はひどい、参入障壁はあるし、政府が補助をしているし、流通システムはまったく不透明だと文句を言ってきました。その後、レーガン政権時、通商法301条に基づいて提訴などがどんどん出てくることになったのです。

 この当時、日本の半導体産業は何をやっていたかというと、DRAM(Dynamic Random Access Memory)というものです。これは当時、IBMなどが持っていた大型コンピュータの記憶装置で、日本はものすごい高品質なものを作ったようです。

 当時、IBMが突き...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文

人気の講義ランキングTOP10
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
高市政権の進むべき道…可能性と課題(4)外交力と防衛力の強化へ
求められる「能動的サイバー防御」、問われる本物の外交力
島田晴雄