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ソニー、キヤノン、JSR…半導体を支える日本企業の技術力

半導体から見る明日の世界(7)世界の半導体を支える日本の技術力

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
実は世界の半導体を陰で支えているのは日本の技術力である。あまり知られていないことだが、「これがないと半導体を作れない」という技術の多くを日本の企業が持っているのだ。今回の講義では、最先端の半導体技術を日本の企業が支えているという現実を細かく見ていくことで、新時代の半導体の知識を深めていく。(全12話中第7話)
時間:07:07
収録日:2023/07/14
追加日:2023/10/09
≪全文≫

●限界を超え始めた最先端の半導体技術


 ところが、後工程にはパッキングするなどいろいろなものがあるのですが、今、後工程がものすごく脚光を浴び始めているのです。なぜかといいますと、こういうことです。(最先端技術は)2ナノという世界です。1ナノは10億分の1メートルですから、2ナノはそれに近いのですが、(実は)今、世界で3ナノまではTSMCで作れるようになりました。しかし、アメリカの会社は作れません。韓国のサムソンもそこに近づいていますが、これはもう限界ではないかと専門家たちは見ているのです。

 これはゴードン・ムーアという人がいて、「ムーアの法則」というものを聞いた方がおられると思いますが、ムーアはインテルという会社を創業した1人です。科学者でもあるこの人は、チップに盛るトランジスタの数は、2年に一度倍増していくということを言いました。そうすると、2年で2が4になり、4年で8になり、6年で16になります。

 この人は2023年に亡くなったのですが、彼は1956年頃にそのムーアの法則を言い出しました。これを計算すると面白いのです。2年に一度ですから、60年かそれくらいで計算すると、10億倍を超えるのです。つまり10億倍にトランジスタが増えているのです。

 これ以上は無理ではないかとされてきましたが、実はもう超え始めているのです。オランダのASMLは多分超えています。しかし、必死でやっていても、わずか1カ所でもトランジスタの機能が十分じゃないと、このチップはダメになってしまいます。ですから、かなり難しいのです。

 そこで今、世界の科学者が考え始めたのが、立体半導体(3次元半導体)というものです。なぜ3次元半導体なのかといいますと、2センチ角で5層、6層、10層、20層と、上に足していって高層ビルみたいにしていくのです。そうすると横に電流が流れる、縦に流れる、距離は短いということで、効率が非常にいいのです。


●世界の半導体を陰で支える日本の技術力


 このようなことを考えました。ただ、これは後工程で作ります。チップはできていますから、そのチップを重ねていくのです。そこでチップの接着剤をどうするか、さらに電流がきちんと流れるように補強する薬品をどうするかとか、これは圧倒的に日本が強いのです。ですから、後工程が急に脚光を浴びるような状況になりだしたのです。

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