トランプ2.0と中東
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
国際世論を無視…トランプ2.0がガザに与えた影響
トランプ2.0と中東(3)保守の知恵と民主主義への攻撃
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
トランプ2.0の態度とは真逆なのが、現状維持をよしとし、大きな政治的変革に着手しない保守主義の理想である。この知恵を現代のわれわれは中東政治の中で目にする。しかし、トランプ大統領の「力は正義なり」のほうは、一旦権力の座に就くとそれまで利用してきた民主的制度への攻撃として国際世論を無視する。それは、同類項といっていいイスラエルやロシアの強権措置に力を与えていることも事実である。(全4話中第3話)
時間:9分26秒
収録日:2025年4月10日
追加日:2025年6月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●主権主義者を通してみる「保守」の変容


 皆さん、こんにちは。前回は主権主義者という言葉を紹介しましたが、この主権主義者という概念はフランス政治などでも用いられることがあります。

 特に欧州統合(EUによる欧州の完全統合)に対して反対するか、あるいは憎悪を示すような流れです。すなわち、フランスの国民国家主権というものを重視する立場に立つ。

 そうした観点から、例えばフランスの元社会党の幹部であり大統領選挙にも出たことのあるシュヴェンヌマン氏などが主権主義者の代表と目されることがあります。また最近では、ハンガリーのオルバン首相やイタリアのメローニ首相なども、ある面で主権主義者といえなくもないという解釈もあります。

 いずれにしても、2010年代から2020年代に入り、かなりの民主主義社会において保守政党の変容、変化が始まったわけです。特に、トランプ氏のように、保守主義から出たけれど、その行動様式が著しく革新・革命的な非保守的な政治家による政党の急進化、あるいは政党の革命化という変容が始まったと指摘されています。

 保守主義というのは、本来パレスチナ問題のような余りにも複雑すぎる問題には消極的であり、その解決に関しても多国間主義で問題に迫ろうとする傾向があります。あるいは、民衆暴動や株式の大暴落、為替変動の大変動など、何が起きるか分からないようなことには手を出しません。

 つまり、関税率を激変させようという今回のトランプ大統領のような大きな政治的変革には手をつけない知恵。それが、保守主義のエドマンド・バーク以来の理想であり、知恵とされたものです。


●中東が引き継ぐ「保守」の知恵


 この点は(感覚的・本能的にいうと)、むしろ中東の独裁者たちや軍人、政治家のほうが、複雑すぎる問題に手をつけるのは怖い、そうした問題には手をつけず、とにかく現状を維持していくようなことに終始する(傾向があります)。

 その複雑な問題に手をつけたらどうなるか。うっかりすれば「アラブの春」になってしまう。また、うっかりするとそれどころではなく、シリアの独裁者アサドのような人物も倒されてしまう。あるいはイランであれだけ権力と力を持った革命防衛隊が、いともたやすくレバノンやシリアにおいて、その政治的な基盤を失ってしまう。イランの権威も失墜してしまう。

 こうしたことをよく知っている...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(4)甘えない子が心の病気になる
二宮尊徳はヤングケアラー!?なぜ甘えない子が心を病むのか
與那覇潤
新撰組と幕末日本の「真実」(8)戊辰戦争~明治期の新撰組の魂
受け継がれる魂…戊辰戦争での奮戦と自由民権運動の情熱
堀口茉純
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(3)祖先崇拝の5つの特徴
夢魔の重圧?…なぜ「バチあたりの人間」が村八分になるのか
賴住光子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
ドンロー・ドクトリンの台頭(1)トランプ系論と2025年度版NSS
ドンロー・ドクトリンとは?トランプ系論と西半球の重要性
東秀敏
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之