●2000年から始まった人口減少、世界でも新しい出来事が次々に
―― 本日は森田朗先生に、「人口減少と社会保障」というテーマでお話をいただきます。それでは森田先生、どうぞよろしくお願いいたします。
森田 皆様、おはようございます。ただいまご紹介いただきました森田です。
早速ですが、今日は人口減少の問題についてお話をさせていただきます。
テーマについては3つの柱を立てていますが、まず、なぜ私がこのような話をするかについて、自己紹介をさせていただきます。
私自身、専門は広い意味での政治学、その中でも行政学や公共政策を研究していました。ただ行政の研究をしていると、世の中、いろいろと「手伝え」と言われます。霞ケ関もそうですが、いろいろな行政の現場でお手伝いをさせていただきました。
その中でも、20年ほど前から医療政策に関わりました。自身の経験でいえば、中医協(中央社会保険医療協議会)という医療費の値段を決める審議会の会長を4年ほど務めました。それ以来、厚生労働省の仕事をかなり行っています。その一環として、2014年から2017年まで、国立社会保障・人口問題研究所の所長を仰せつかりまして、そのときに人口について調べることがあったのです。
今日は、少し情報が古くなっているかもしれませんが、そのときに調べたことをベースにお話をさせていただければと思います。
さて、人口の問題は今、皆さんが非常に関心を持たれている。なんといっても少子化です。少子化は重要な問題なのですが、実は今の世の中、大変大きな変革期に来ていると思います。そのことをお話ししてから、人口の話に入りたいと思います。
森田 人口減少はまさにその典型的な例なのですが、2020年に入ってから、それまでにはなかったような新しい出来事が世界で起こっています。私も70年ほど生きていますが、2000年になってから少しずつ人口が減っていき、世界の中での日本の地位が少しずつ下がっていくという気がしていました。それでもゆっくり、少なくともわれわれが生きているうちはなんとか今のような状態が続くだろうと思っていました。
しかし、ご存じの通り、2020年からCOVID-19(新型コロナウイルス)の感染症が広がりました...