教養としての「人口減少問題と社会保障」
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
生産年齢人口が4割減に!? なぜ人口減少は起こったのか
教養としての「人口減少問題と社会保障」(2)人口減少のメカニズム
森田朗(一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事/東京大学名誉教授)
今回はまず、戦後の日本の人口推移を年代別に見てみよう。すると、子どもや現役世代の人口数のピークはとうの昔に過ぎ去り、それが日本の人口減少につながっていることが分かる。では、なぜそのような人口変化が起きるのか。そのメカニズムについて詳しく解説する。 (2024年7月13日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分34秒
収録日:2024年7月13日
追加日:2024年11月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●生産年齢人口が急減し、老齢人口は増えている


森田 先ほどのグラフ(第1話「日本人口の歴史的推移」)は極端でしたので、もう少し時間軸を最近にとると、この「日本の人口の推移」というグラフになります。

 グラフで人口の頂点の部分を見ると、ジェットコースターではなく緩やかに下りるくらいの形になっています。

 このグラフでご覧になっていただきたいのは内訳です。15歳未満の人口を「年少人口(子どもの人口)」、15歳から64歳までを「生産年齢人口」、65歳以上を「老年人口」といいます。「生産年齢が15歳から始まるのは今の現実とやや違うのではないか」「今は20歳ごろまでは働いていない」ということをよくいわれるのですが、昔からこの年齢区分で統計をとっているものですから、今も一応この区分になっています。

 グラフを見ると、少子化は緩やかですが少しずつ確実に進んでいます。それよりもかなり加速する形で生産年齢人口が減ってきています。他方、高齢者は増えてきている。それでも高齢者数がピークになるのは、およそ2030年から2040年ごろだといわれています。

 生産年齢人口のピークは、実は1995年です。さらにいうと、年少人口のピークは、40年前の1955年です。1955年のベビーブームの終わりのころが、実は一番子どもの人口は多かったのです。

 そのとき生まれた人たちが親になり、次の世代に移るのが1980年代の初めごろになります。このとき、かなり人口が上がりました。グラフで見えると思いますが、たしかに上がったのですが、親の世代ほどは増えなかった。さらにいうと、孫の世代はどうか。2010年ごろにあるはずなのですが、人口増が全然なかったのです。

 生産年齢人口は1995年がピークで、それからずっと減り続けています。後でも少し触れますが、バブル経済の終わった年が1990年で、1995年は日本の経済が非常に悪く、失業率が高かったものですから、労働力不足はそれほど感じられませんでした。

 それがずっと続いてきて、昨今では宅配便もそうですし、運転手さんもそうですが、いくつかの産業で本当に人手不足が深刻になっています。どこにいっても、行政もそうですけれど、やはり人が集まらない。人材が不足しているということは聞きます。

 したがって、もっと人材を集めましょうと。別の形でいいますと、今年(2024年)...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国共産党と人権問題(5)そもそも人権思想と憲法とは?
中華人民共和国憲法は人権型ではない
橋爪大三郎
『貞観政要』を読む(1)長期政権を目指す者の必読書
北条政子も愛読した長期政権のバイブル『貞観政要』
田口佳史
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子