第2の人生を明るくする労働市場改革
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
メンバーシップ型からジョブ型へ、日本的雇用を変えるには
第2の人生を明るくする労働市場改革(7)国民を豊かにするグランドデザイン
政治と経済
宮本弘曉(一橋大学経済研究所教授)
「メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ移行させる」「労働分配率を上げる」…流動的な労働市場を実現する上での諸問題や日本の課題について、会場から数々の質問が寄せられたが、いずれも大事な課題ばかり。どのように考えればいいのか。国民が豊かに暮らせるためのグランドデザインとして、労働市場改革の方途を解説する。(全7話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分45秒
収録日:2024年8月3日
追加日:2025年3月21日
≪全文≫

●流動的な労働市場に適しているのはジョブ型雇用


―― 冒頭にいろいろご質問を皆さんからいただきましたけれど、この講義をお聞きいただいて、改めてご意見、ご質問をお受けしたいと思っています。

 【質問1】日本もメンバーシップ雇用からジョブ型に転換するといわれますが、これはどの程度、雇用の流動性に効果があるのでしょうか。もう1つ、スウェーデンでは、たしか雇用保険から来るのかもしれませんが、辞めた人、クビになった人を保護することが前提になっていて、それがために雇用の流動性が非常に高いといわれています。この2つについての先生のご意見をうかがいたいです。

宮本 ご質問ありがとうございます。まずジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用についてですが、馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単に説明します。

 最近、日本的雇用は「メンバーシップ型雇用」、海外の一般的な雇用は「ジョブ型雇用」と呼ばれています。この違いを分かりやすく説明すると、椅子取りゲームのようなものをイメージするとよいでしょう。

 日本のメンバーシップ型雇用では、企業が「タグ(職種)の付いていない椅子」を用意し、そこに労働者が入る形になります。タグがついていないため、いろいろな仕事を体験することができます。例えば、最初は人事部に配属され、次は営業部に異動する、というように業務内容が固定されていないのが、メンバーシップ型雇用と呼ばれるものです。

 一方、ジョブ型雇用では、最初から椅子にタグが付いているのです。「この仕事は人事課の仕事です。あなたは人事課以外では働きません。お給料はいくらです」というように、明確に決まっています。

 あるとき、労働者が「キャリアアップしたい」と思ったら、違う椅子を探しに行くのです。その際には、営業というタグが付いていて、お給料も高くなるかもしれません。これが、海外で一般的なジョブ型雇用の仕組みです。

 では、流動的な労働市場にはどちらが適しているのか。答えはジョブ型雇用です。ですから、本格的に日本の労働市場を流動化させようとするなら、ジョブ型雇用をもっと普及させていくという話になります。

 しかし、現在、日本の企業の多くはメンバーシップ型雇用です。そのため、一気にジョブ型に移行するのは現実的ではなく、一定の移行期間が必要になります。そこで、企業内の労働市場を活...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)選挙の意味
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(3)「内政と外交」と持つべき外交感覚
国民に求められる外交感覚とは?陸奥宗光の臥薪嘗胆の意味
小原雅博
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎