第2の人生を明るくする労働市場改革
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
年収の壁、解雇ルール、退職金…活発な労働移動を阻む要因
第2の人生を明るくする労働市場改革(5)労働市場の流動化への障壁
宮本弘曉(一橋大学経済研究所教授)
なぜ労働市場の流動化がなかなか進まないのか。実は日本には労働移動が不利になる制度や慣行があるのだ。例えば退職金の優遇税制、解雇ルール、年収の壁がそれに当たるが、それぞれどのような内容なのか。労働市場改革を実現する上で無視できないそれらの要素を深掘りする。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分58秒
収録日:2024年8月3日
追加日:2025年3月7日
≪全文≫

●労働市場の流動化を妨げている要因:退職金の優遇税制


―― 今までのお話で(労働市場改革が)なぜ必要か、どう変えなければいけないかについて、いろいろとお話しいただいたわけですが、ここから先が非常に難しいお話です。具体的な制度の壁、制度の問題がたくさんあるということで、何を変えれば変えられるのかというところなのですけれど、そこはいかがでございましょうか。

宮本 冒頭(第1話で)何名かの方から非常にシャープなご意見をいただきましたが、日本は労働市場が流動的になりにくい仕組みになっています。その要因のひとつが税制です。これが転職を妨げるような仕組みになっています。

 その1つが退職金の優遇税制です。同じ企業に20年以上勤務すると、退職金を受け取る際に税制上の優遇を受けることができます。例えば、40年同じ企業に務めた場合、この優遇制度を利用でき、退職金にかかる税金が安くなります。ところが、同じ40年間働いていても、2回転職をしている場合はどうなるでしょうか。例えば、最初の企業に15年、次の企業に15年、最後の企業に10年務めたとします。この場合、どの企業でも20年働いていないので、優遇措置を受けることができません。

 つまり、1つの企業に20年以上勤めると退職金の優遇税制を受けられるため、退職が近い人はあえて転職しようというインセンティブは持ちにくくなります。

 このように、税制1つとっても、転職や活発な労働移動を妨げる仕組みになっているのです。


●労働市場の流動化を妨げている要因:不透明な解雇ルール


宮本 解雇のルールについてです。このルールは不明瞭になっています。労働市場を流動化させるには、企業が柔軟に労働を調整できることが重要ですが、解雇に関するルールが不透明であるため、企業が労働調整を行いにくいのです。

 日本には整理解雇の4要件というものがあります。これは何かというと、企業の経営者が業績悪化により従業員を解雇したい場合に、4つの条件を満たさなければ解雇できないというものです。

 そのうちの1つが「必要性」という条件です。これは、特定の人を解雇する場合、その解雇が本当に必要であることを示さなければならないというものです。そこでのポイントは、新しい人を雇ってはいけないということです。要するに、解雇は人材が不要になったの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
国家の利益~国益の理論と歴史(2)ペロポネソス戦争の教訓
国益の歴史…ペロポネソス戦争の教訓とトゥキディデスの罠
小原雅博
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留