●デジタル化で、人間の労働職を集約させる
森田 最後になりますが、結論は高齢者にも働いてもらうなどいろいろとありますが、基本的な解決策の1つとして、世界の他の国では日本以上に取り組んでいる「デジタル化」があると思っています。考え方としては、新しいデジタル技術が次々と出てきているので、機械ができることは機械にやらせて、人間にしかできないことに人間の労働力を集中させていかない限り、質の高いサービス、質の高い社会を維持することが難しくなるのではないかと思います。
どうやって効率化すればいいか。われわれは今まで(コロナ以前)は、満員電車に乗って職場に行かないと仕事ができないと思っていたわけです。けれど、「新型コロナウイルスに感染するから職場には来るな」と言われ、ではどうしようかというときに、きわめてラッキーなことに、ZOOM、Webexといったさまざまなオンライン技術が使えるようになっていました。最初はデジタルが得意でない人は戸惑ったところがありましたが、今ではほぼ定着しています。
大学でも「学校へ出てこい」と言っても、「いや、面倒だから家やベッドの中から聴ける授業のほうがいい」といった学生が増えてきています。そうなってくると、(やや憚られるかもしれませんが)立派な教室はいらないのではないか。大学の定員についても、無理に定員以内で収めなくてもいいのではないか。定員がなくなると入試もいらないのではないか。いろいろなことが考えられるわけですが、そういった形で世の中のあり方が変わってくるし、変えるべきだという気がしています。そういう意味で次々と新しくなっています。
それでも、「最後は人間の頭で考え、人間が発信をしなければいけない。コミュニケーションの内容はやはり最後まで人間がやらなければならないだろう」と言われていたのですが、一昨年(2022年)にはChatGTPなどの生成AIが登場した。私もときどき使いますが、正直言って、一般の人の文章能力よりも遙かにレベルの高い文章を書く(こともある)と思います。どう使うかが鍵ですが、それらも活用できるのではないかと思っています。
いずれにしても、そうした形でデジタルをもっと使おうよということ、そのために世界の先進国(北欧諸国、日本でも有名になったバルト三国のエストニア、あるいはシンガポール、韓...