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深刻な少子高齢化が進んでいる国は?…世界と日本の比較

人口減少と日本の未来(3)少子高齢化は日本固有の課題か

森田朗
一般社団法人次世代基盤政策研究所 所長・代表理事/東京大学名誉教授
情報・テキスト
少子高齢化と人口減少は国際的に生じている問題だ、と津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏は指摘する。その中で、日本の問題は特殊だといえるのだろうか。森田氏が世界的な見地から論じる。(全7話中第3話)
時間:07:44
収録日:2018/03/29
追加日:2018/08/07
≪全文≫

●世界の中で最も深刻な日本の少子高齢化、人口減少問題


 日本では、少子化、高齢化は大変深刻な問題で、世界の中で最も深刻な問題です。つまり、少子高齢化人口減少が進んでいるわけですが、これは日本に特殊の問題かという点について、次に見ていきます。

 上のグラフは世界の人口増加率を比較したものです。先進国と開発途上国、それも後発地域とそうでないところを分けていますが、ざっと見てお分かりになりますように、全てのところで人口増加率が下がってきています。日本の場合にはもう2010年ぐらいから減少(マイナス)に向かっていますが、先進地域の場合には、だいたい2050年ぐらいから減少(マイナス)に向かいます。それまでは少し増えています。

 さらに開発途上国の方は、まだ人口は増加しています。これは前回言いましたように、人口ピラミッドの右肩の部分の人たち、かつては亡くなっていた人たちがさほど亡くならなくなったことで増えていますが、総人口そのものは少子化が始まっていますから、だんだん減ってきているといえます。


●平均寿命から見ても日本は高齢化率が非常に高い


 別な観点から見ますと、このグラフにあるように、男性、女性とも世界の主要国の中では平均寿命がだんだん延びています。長寿化が進んでいるということです。

 このグラフは世界の国連加盟国の高齢化率を表したものですが、結果的に全体として高齢化率が上がっています。要するに、人口に占める高齢者の割合が増加していることがお分かりいただけると思います。

 このグラフでは、ドイツ、イタリア、日本、韓国という非常に高齢化率が高い4つの国を少し太い線で表していますが、日本の場合には途中から2つに分かれています。上の方の線は国立社会保障・人口問題研究所が推計したもので、推計によれば、高齢化率は2100年ぐらいまでずっと世界で一番高いと予想されています。ただ国連のデータを使いますと、韓国の方がより高くなると推計されています。特に韓国の青い線を見ていただきたいのですが、高齢化率の伸び方、要するにそのカーブが非常に急速です。これは社会的に大変大きな負担、課題を引き起こすと考えられます。

 このグラフは、そのことも含めて人口ピラミッドを世界の主要国で比較したものです。アメリカとフランスはピラミッド型ではなく砲弾型で、まだ下の方(年少人口と生産年齢人口)もかなり幅がありますが、ドイツ、日本の場合はつぼ型で、下(年少人口)が細く、人口減少が将来的に危惧される国ということです。ただ、いずれにしても、かつてのようなピラミッド型の国はありません。

 わが国の場合、こうした状態で日本の総人口が減ってきます。他方、途上国の場合には、先ほど言いましたように、まだ増えているところがあります。その結果、何が起こっているかというと、世界の人口に占めるわが国のシェアがだんだん小さくなっているのです。

 1950年ぐらいでは世界の人口がおよそ25億人で、日本は人口の多さでいうと世界の5番目で3.2パーセントを占めていました。それが2010年になりますと、世界の人口が69億人になり、日本は10位で1.9パーセントです。2050年になると世界の人口が93億人を超えると予想されていますが、そうなると日本のシェアは17位で1パーセントぐらいになるのです。

 問題はそれがどういうことなのかということですが、世界における日本の経済力、存在感に大きな影響を及ぼすことは言うまでもありませんが、このグラフからさらに見るべきはどこが増えてきたかです。

 1950年の場合には先進国と書かれている部分がほぼ3分の1を占めておりましたが、これが2010年になりますと6分の1に減ってきています。さらに2050年になりますと、先進国は約8分の1になってきます。先進国は少子化も進んでいるため、さほど人口は増えませんが、それ以外では、中国、インド、その他のアジアが2010年ぐらいになりますと急に増えてきて、最近、そしてこれからはアフリカが人口が相当増えてきます。これはさまざまな意味で日本が海外に物を輸出するとか、さまざまな経済的なつながりを持つという場合に、どこを重視すべきかという点で一つの参考になると思われます。


●中国とインドは、日本と似たような人口構成をしている


 次に外国の状況をもう少し見ておきたいと思います。このグラフは中国についてです。人口は日本の10倍以上ありますが、先ほどの人口構成のグラフを見ますと、日本と同じような形をしています。右の小さいグラ...
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