人口減少と日本の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
現在の政治制度では、意思決定構造が高齢化する
人口減少と日本の未来(7)持続可能な社会をつくるために
森田朗(一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事/東京大学名誉教授)
深刻な高齢化、人口減少の問題を打開する対策は立てられるのか。津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏は現行制度での厳しい見通しを示すが、持続可能な社会のためには従来の社会の仕組みをつくり変える時期に来ている、と変革の重要性を強調する。(全7話中第7話)
時間:8分57秒
収録日:2018年3月29日
追加日:2018年9月4日
≪全文≫

●社会保障の財源は確保できず、効率化が不可避である


 これまでに話したことが高齢化の問題であり、また社会保障の問題がいかに深刻かという話をしてきました。また、そうしたこととともに人口の変化が起こってくるということをご説明してきたわけです。

 それでは、それに対してどのような形で、対策を講じたらいいのでしょうか。当然ですが、社会保障費の支出はどんどん増えてきています。それに対し、どうやって、高齢化対策として有効な政策が立てられるのでしょうか。そして、政策としては「こうすればいい」というアイデアが出るかもしれませんが、実際にそれを社会の制度として実現していくとはどういうことなのでしょうか。そうしたことについて最後に触れたいと思います。

 私たちの社会は、高齢者のために随分、社会保障のお金を使っています。他方、生産年齢人口が減ってきていますから、それを賄うため、それに充てるための税収も含めて財源は、だんだん乏しくなってきています。したがって、このまま続けていくと、わが国の財政、社会保障は持続できなくなってきます。それを持続可能にするためにはどうするかといいますと、できるだけ入ってくる財源を増やすという努力が必要なのですが、これも生産年齢の人口が減ってきますとなかなか難しい。他方で高齢者は増えてきますから、自然に社会保障費の支出が増えていきます。これをどのように抑制するかも課題になってきます。

 社会保障費の支出を抑制し、一方で若い世代にその負担を増やしていくことになると、わが国の財政はますます持続可能性を失うことになります。ですから、持続可能な財政、その社会をつくっていくためには、できるだけ社会保障の支出を抑制し、サービスの効率化をしていくということになります。


●現在の政治制度では、意思決定構造が高齢化する


 同時に若い世代の人たちをエンカレッジし、支えるような形での政策をつくっていかなければいけません。それが社会を持続可能にするために必要ですが、それが可能かといいますと、結論からいって、現在の人口構成と、現在の制度を前提にしている限り、なかなか厳しいものがあるといわざるを得ません。

 どういうことかといいますと、「意思決定構造の高齢化」と書きましたが、スライドは総人口の中に占める有権者の割合と、有権者...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留