●社会保障の財源は確保できず、効率化が不可避である
これまでに話したことが高齢化の問題であり、また社会保障の問題がいかに深刻かという話をしてきました。また、そうしたこととともに人口の変化が起こってくるということをご説明してきたわけです。
それでは、それに対してどのような形で、対策を講じたらいいのでしょうか。当然ですが、社会保障費の支出はどんどん増えてきています。それに対し、どうやって、高齢化対策として有効な政策が立てられるのでしょうか。そして、政策としては「こうすればいい」というアイデアが出るかもしれませんが、実際にそれを社会の制度として実現していくとはどういうことなのでしょうか。そうしたことについて最後に触れたいと思います。
私たちの社会は、高齢者のために随分、社会保障のお金を使っています。他方、生産年齢人口が減ってきていますから、それを賄うため、それに充てるための税収も含めて財源は、だんだん乏しくなってきています。したがって、このまま続けていくと、わが国の財政、社会保障は持続できなくなってきます。それを持続可能にするためにはどうするかといいますと、できるだけ入ってくる財源を増やすという努力が必要なのですが、これも生産年齢の人口が減ってきますとなかなか難しい。他方で高齢者は増えてきますから、自然に社会保障費の支出が増えていきます。これをどのように抑制するかも課題になってきます。
社会保障費の支出を抑制し、一方で若い世代にその負担を増やしていくことになると、わが国の財政はますます持続可能性を失うことになります。ですから、持続可能な財政、その社会をつくっていくためには、できるだけ社会保障の支出を抑制し、サービスの効率化をしていくということになります。
●現在の政治制度では、意思決定構造が高齢化する
同時に若い世代の人たちをエンカレッジし、支えるような形での政策をつくっていかなければいけません。それが社会を持続可能にするために必要ですが、それが可能かといいますと、結論からいって、現在の人口構成と、現在の制度を前提にしている限り、なかなか厳しいものがあるといわざるを得ません。
どういうことかといいますと、「意思決定構造の高齢化」と書きましたが、スライドは総人口の中に占める有権者の割合と、有権者...