人口減少と日本の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
2040年に秋田県の人口が3分の2に…人口減少の理由
人口減少と日本の未来(5)地方消滅の危機
政治と経済
森田朗(一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事/東京大学名誉教授)
数年前に話題になった「地方消滅」は本当に起こるのだろうか。その原因が地方から首都圏への人口移動なら、それを食い止めれば地方の消滅は防げるのではないか。津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏が、都市と地方の人口の関係を検討しながら、都市圏への人口移動の具体的な状況と予想される未来を詳述する。(全7話中第5話)
時間:13分35秒
収録日:2018年3月29日
追加日:2018年8月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●高齢化率が高まるが、高齢者数が減少するほど人口も減る


 これまでは、わが国全体として人口がどう変わってくるかを見てきました。これからは、日本の国内において都市と地方で人口の変化の違いがいかなるものか。特に数年前に話題になった「地方消滅」が本当に起こるのかどうか。その原因が地方から都市圏、特に首都圏への人口移動ではないか。したがって、これを食い止めれば地方の消滅は防げるのではないか。そのために打たれているさまざまな政策が打たれているわけですが、それらはどういう意味を持っているのか。また、本当にそうした意味があるのか。以上のようなことについて見ていきたいと思います。

 これは2010年から2040年まで人口がどう変化したかを総人口指数で表したものです。上から、紫色の濃い方は人口減少が進んでいて、グリーンの方は人口減少が少ないということです。2040年まで見たときに、人口が増える都道府県はありません。総人口指数の数字で見る限り、一番人口が減るのは秋田県で、30年間で100が64.4になりますから、人口が3分の2以下になってくるということです。

 これは、実際の社会においてさまざまな意味で大きな影響を及ぼします。特に商業などの分野では、それだけ人口、つまりお客さんが減るということですから、お店の閉鎖が進み、それがさらに人口減少を生む、といった意味での社会の縮小、あるいは衰退が、全県かどうかは分かりませんが、かなり広い範囲で起こってくるといえます。その中でも人口が一番減らないのは沖縄県です。少しだけ減ることになりますが、ほぼ現状維持となります。

 次は、総人口ではなく65歳以上人口がどうかを見たものです。2010年、2025年、2040年と3つの時代についてそれぞれグラフで表していますが、ざっと見ていただいて、2010年は赤と黄色が多く、2025年になるとグリーンなどが薄くなり、そして2040年になると濃い紫が増えていきます。これだけ全体として高齢化が進んでくるわけです。これは高齢者の比率(高齢化率)を表しており、4割を超えるところが濃い青紫の部分になります。4割はともかく、多くのところで36パーセント以上超えていることになり、そうでないところは首都圏、近畿圏、中部圏、北九州など一部です。

 秋田県の場合には高齢化率が43.8...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子