教養としての「人口減少問題と社会保障」
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買い物難民、スポンジ化…地方消滅という人口減少の課題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(5)地域社会の崩壊
森田朗(一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事/東京大学名誉教授)
人口減少がもたらす社会の変化として顕著に現れているのは、労働力不足が課題になっている大都市圏ではなく、むしろ地方だと森田氏は言う。地域社会の崩壊は、「スポンジ化」といわれる空き地・空き家問題をはじめ、「買い物難民」など、さまざまな形で顕在化しているからだ。日本の地方においていま起こりつつある深刻な事態や現象について、北海道を例に挙げて詳しく解説する。(2024年7月13日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第5話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分51秒
収録日:2024年7月13日
追加日:2024年11月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●タクシーを呼んでも来ない…「当たり前」が当たり前ではない時代に


森田 さて、人口減少とお金の問題に入りましたが、ではこれからどういうことが起こるのか。そして、それに対してどのように対応したらいいのか。これがなかなか難しい問題で、話をし出すといろいろなことが出てくるかと思いますが、簡単に論点だけを指摘させていただきました。

 今まで話してきたことからお分かりいただけると思いますが、少子化対策でもって人口の減少を止める、あるいは人口を増やすということは、まず考えられない。現在の政策や科学では考えられないと思います。もちろん少子化対策はできるだけ行い、減少速度を抑えるということは重要です。それは重要なのですが、人口が減っていくことを前提にして、われわれが築いてきた非常に質の高い、いい社会をどうやって維持していくかということを考えていくべきではないかと思います。

 人口減少がもたらす課題はいくつもあるのですが、主要なものは挙げた通り、1つは地方社会(地方のコミュニティ)が保てなくなってくるのではないか。これに対してどうすればいいのか。

 もう1つは、すでに東京でも始まっていますが、都内でも運転手がいないのでバスの路線を廃止するといったことが起こり始めています。実際、東京ではあまり(交通の便に)困らないので感じませんが、地方へ行くと、タクシーがとにかくなくなってきて、つかまらないというケースがたくさんあります。そこでライドシェアという、海外にあるウーバーの仕組みを導入してはという話になりましたが、なかなかうまくいきませんでした。

 実際に私が経験したエピソードを1つ紹介します。昨年(2023年)の夏、北海道の田舎のほうへ行きました。地元の方にいろいろとお話を聞き、夜に懇親会をして、「では、これから帰ります。(北海道は広いので)タクシーでホテルまで行くので、タクシーを呼んでくれますか」と言ったら、「タクシーなんか来ませんよ」と。「でも、駅前に停まっていたし、昼間に見たら運転手さんもいましたよ」と言うと、「車はあって、運転手もいます。ただ運転手が皆70歳以上なので、夜は8時になると寝るのです」と。

 「若い人もいないわけではないけれど、若者は引っ張りだこですから、とても今から電話してもつかまらない」と言うので、仕方がないから...

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