教養としての「人口減少問題と社会保障」
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北欧諸国の真似では解決せず!? 少子化問題への妙案はあるか
教養としての「人口減少問題と社会保障」(8)今こそ制度改革にチャレンジする時期
政治と経済
森田朗(一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事/東京大学名誉教授)
日本の人口減少問題への対応として、医療にしても、行政にしても、これまでの制度自体を根本的に見直し、制度改革にチャレンジする時期に来ているのではないかと森田氏は言う。その際、メディアでよく取り上げられる北欧諸国がお手本になるが、はたして彼らが生み出した制度は日本でも通用するのだろうか。関係人口の問題とマルチ・ハビテーションの可能性などと合わせて解説する。講演終了後の質疑応答編。(2024年7月13日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第8話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分58秒
収録日:2024年7月13日
追加日:2024年12月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●2010年頃から指摘も…認識が遅れてしまった人口減少・少子化問題


 [質問]
 1:日本の少子化を解消するために「20代、30代の女性に頑張ってもらう」とのことですが、男性側の課題も多く(非正規雇用が多いなど)、社会全体の仕組みが問題ではないでしょうか。
 2:「ヨーロッパ各国も出生率が下がっている」とのことですが、ヨーロッパは1990年代から2000年代にかけて社会の保障のあり方を変え、出生率を上げたのではないでしょうか。
 3:高齢者が働かざるを得ない状況になったのは、そもそも日本が長年、政治的に無策だったためではないでしょうか。

森田 はい。1番目は(前回までの講義の中での)私の言い方に確かに問題があったと思いますし、若干、刺激的にそう言った部分もあります。要するに、少子化の問題の場合、女性と男性でどうしても役割が変わってきます。その意味でいえば、もちろん男性の側にそれなりの負担をきちんと負うような仕組みをつくるのはいうまでもありません。

 ただ、今非常に気になっているのが、意識の問題として「女性は子どもを作りたいのだけど制度的な障害がとても大きい」のかというと、必ずしもそうはいえないと感じています。そのためにフィンランドの例も取り上げました。だから、むしろ女性たち自身が結婚してどんどん子どもを作るという意識を持っているならば、制度を変えろという声をもっと強く出してもらいたいと思います。

 2点目について、ヨーロッパで出生率が上がったということで日本においてよく取り上げられるのは、フランスとスウェーデンです。両国とも一時下がった出生率が上がっています。

 ただ、これも専門家の受け売りで私自身が検証したわけではないのですが、フランスの場合もベースラインとしての出生率はあまり下がっていません。ずっと日本よりも高いと思います。一時それが下がってまた元に戻ったというのが、どうも実際のところのようです。

 なぜそういうことが起こったかというと、現在はいろいろな形で、いつ子どもを生むか(という調査データ)について、かなり調整ができます。その意味でいうと、経済的に非常に落ち込んでいるときには出産(出生)が減り、景気が良くなってくると出生が増えてくる。それを均してみた場合、だいたいフラットなラインで、フランスも元に戻ったということです。特に政策が成功して落ちるカーブを上げた...

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