長寿社会の課題と可能性
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
元気な高齢者が社会を支えられる仕組みが必要
第2話へ進む
人生100年時代の生き方と日本の3つの課題
長寿社会の課題と可能性(1)個人・社会・産業の課題
秋山弘子(東京大学名誉教授/東京大学未来ビジョン研究センター 客員教授)
東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子特任教授が、人生100年時代を迎えた日本の課題について解説する。高齢化が急速に進み、健康で長生きできるようになった現在の日本では、それまでの人生50年時代の生き方やインフラ、産業は通用しない。日本は世界の長寿社会のトップランナーとして、個人・社会・産業の課題に取り組むべきだ。(全6話中第1話)
時間:10分10秒
収録日:2017年4月12日
追加日:2017年5月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本は欧米を追い越して、長寿社会のトップランナーとなった


 東京大学高齢社会総合研究機構・特任教授の秋山弘子です。ご存じのように長寿社会には、認知症や医療、介護、買い物難民といった、いろいろな課題があります。しかしそこには同時に、私たちの祖父母の時代には想像できなかったような、新しい可能性もあります。今日はその両方について、お話しします。

 人口の中で65歳以上の人が占める割合を高齢化率と言いますが、このグラフは1950年から2050年の100年間の高齢化率の推移を国際的に比較したものです。赤い点線が日本です。第二次世界大戦が終わった直後の1950年には、高齢化率は約5パーセント、20人に1人が高齢者でした。現在は約27パーセントで、およそ4人に1人が高齢者になっており、非常に急速に人口が高齢化しています。

 赤い線が一番上に来ていますが、現在日本は欧米を追い越して、長寿社会のトップランナーになりました。また日本と同じように、アジアの他の国々も急速に高齢化してきています。これが今の世界の状況です。


●100年生きるという覚悟を持たなければならない


 現在、日本人の平均寿命は男性が80歳、女性が87歳で、「人生100年時代」と言われるようになりました。私たちは100年生きるという覚悟を持たなければならない、という意味で「人生100年時代」といわれます。

 しかも、私たちは単に長生きするようになっただけではなく、元気に長生きするようになっています。このグラフは東京都健康長寿医療センターの調査結果によるもので、データは厚労省の報告書から引用しましたが、1992年と2002年の高齢者の歩行スピードを比べた場合、11歳ほど若返っていることが分かります。つまり、2002年に75歳だった人は、その10年前の1992年に64歳だった人と同じほどのスピードで歩くようになったのです。

 このように私たちは、単に長生きするだけでなく、元気で長生きするようにもなっています。これは歩行スピードに限りません。握力や他の身体機能、認知機能においても、同じような若返りが報告されています。

 ご存じのように、今年(2017年)の初め、日本老年学会が高齢者の定義を65歳ではなく75歳にすべきだ、という立場を表明しました。65歳~74歳の人は准高齢者、高齢者の予備軍で、75歳からが高齢者だというわけです。こうした予備軍の人たちは、今は高齢者と呼ばれてい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(4)「国のかたち」を守った男たち
全責任をかぶることを恐れず本義を貫く…樋口季一郎の決断と行動
門田隆将
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(4)注目されるタスクベース・アプローチ
AIは「まあまあの技術」?…タスクベース・アプローチでわかること
宮本弘曉
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(1)因果関係とは何なのか
原因と結果の迷宮―因果関係と哲学
一ノ瀬正樹
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
ウェルビーイングを高めるDE&I(2)人と組織を取り巻く環境変化:後編
なぜ日本の幸福度は低すぎるのか?会社任せで失われる自律性
青島未佳
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建