長寿社会の課題と可能性
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千葉県柏市の長寿社会のまちづくり
長寿社会の課題と可能性(3)長寿社会のまちづくり
政治と経済
秋山弘子(東京大学名誉教授/東京大学未来ビジョン研究センター 客員教授)
東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子特任教授が、千葉県柏市で行っている社会実験について解説する。高齢化が進む豊四季台団地では、URとともにまちづくりの構想が立てられてきた。特に定年退職後、何もすることが見つからない人に向けて、セカンドライフの就労プロジェクトが始められている。(全6話中第3話)
時間:8分53秒
収録日:2017年4月12日
追加日:2017年5月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●千葉県柏市で長寿社会対応のまちをつくる社会実験を行う


 私たちは、都市部と地方で、ごく普通の典型的なまちを取り上げて、社会実験のフィールドにしています。都市部のまちは、千葉県の柏市です。もう1つは福井県の福井市です。この2つのまちを、長寿社会対応のまちにしようとしています。

 千葉県の柏市は、典型的な郊外のベッドタウンです。常磐線の柏駅から歩いて15分か20分ぐらいの所に、豊四季台団地というUR(前身は日本住宅公団)が造った団地があります。この団地は50年程たっており、建て替えの時期を迎えていました。住宅問題も一緒に考えることができるため、ここを核にして社会実験を行い、それを柏市全体に広げていこうとしています。豊四季台団地は今、高齢化率が40パーセントほどです。これはある意味で、日本の将来の人口比率を先取りしています。したがって、社会実験をする場としては、非常に適しているのです。

 これがその公団です。皆さんの近くにもあるようなものです。左上は空から撮った写真ですが、エレベーターのない5階建ての建物が5,000戸並んでおり、かなり大きな団地になっています。下の写真は商店街です。昔は40軒近い商店があって、子どもたちが飛び回っていました。しかし今は、シャッターが下りているお店も多く、例えばおもちゃ屋などもなくなって介護用品のお店ができるなど、かなり様変わりをしています。


●団地を建て替え、長寿社会対応の施設を造る


 これがこのコミュニティーの構想図です。建て替え後にこうしたまちになると良いだろうと考え、URと一緒に取り組んでいます。5階建ての住棟を建て替えて、10階あるいは14階の高層のビルにする。もちろんエレベーターがあるし、バリアフリーもあります。高層化すると空き地ができますが、それをうまく利用して、長寿社会対応の施設を造るよう提案しています。

 例えば、団地の真ん中に在宅医療の拠点やコミュニティー食堂をつくります。若い人も高齢の方も、1人暮らしが増えていますが、そうした人たちが集まって一緒に食べられるような食堂です。これがコミュニティーのダイニングルームとなれば、人の絆づくりにつながるでしょう。さらに、介護施設やサービス付きの高齢者住宅も、団地の中に入れていきます。


●定年後にしたい活動の第1位は仕事、第2位は学ぶこと


 このプロジェクトをごく簡単に説明すると、...

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