グローバル・サウスは世界をどう変えるか
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軍事戦略よりも重要、国民を守るための「3つの安全保障」
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(10)「3つの安全保障」で日本国民を守る
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
日本には今、平和戦略、軍事戦略の他にもっと重要な「3つの安全保障」がある。それは、エネルギー、食料、財政に関するもので、再生可能エネルギーの導入、食料の自給率向上、高齢者の健康と就労支援など、それぞれ課題の実現は簡単なことではない。ではどうすればいいのか。今回のシリーズではこれまでグローバル・サウスの躍進で世界がどうなるかを考えてきたが、最後の講義となる今回は、そうした新しい次元の時代に突入した日本の課題と対応策について考える。(全10話中第10話)
時間:12分48秒
収録日:2024年2月14日
追加日:2024年6月5日
≪全文≫

●国土に合わせた発電設備のネットワーク


 最後の最後になりましたが、以上お話しした平和戦略、軍事戦略の他に、もっと重要な安全保障戦略が3つあるので、それだけお話しして括りたいと思います。これは、トランプ氏が何を言おうが誰が何を言おうが、日本として日本国民を守るためにやらなければいけないことだと思います。

 1つは「エネルギー安全保障」です。エネルギーは国を運営する基本の資源です。日本が世界に今、提示しているエネルギー基本計画は、2030年に日本が必要とする総エネルギー量は再生エネルギーが36~38パーセント、原子力が20~22パーセント、火力41パーセントで賄うといっているわけです。

 そして、41パーセントを占める火力発電を担う石油・天然ガス・石炭などの化石燃料のほとんどは輸入依存です。これで有事が起きて輸入ができなくなったらどうなるかですが、日本はこの4割に近いエネルギーが入手できないと、日本という国は成り立たなくなります。

 では、そうならないように再生可能エネルギーの比率が倍増できるかどうかです。これを36~38パーセントといっているからですが、これを倍増できたら日本は何とかこなしていけます。しかし、再生可能エネルギーがなぜ増やせないのかですが、太陽光発電の普及が限定されているというのが理由として挙げられています。

 ですから、海洋の風力だとかいっているわけですけれど、日本の国土は山地が多くて平地が少ないので、ソーラーパネルの設置が困難だということが建前でいわれています。しかし、私はこれには非常に大きな疑問があります。

 ソーラーパネルは普通、地上1メートルぐらいのところに設置するので、下が暗くなって使えません。しかし、このパネルをポールか何かで5メートルか10メートルの高さに設置すれば、下の地面には適度の太陽光が入ります。さらにこれを、すだれ型のソーラーパネルにしたら、太陽が動くとその下にちょうど適当に光が注ぎます。

 これは「ソーラーシェアリング」といわれていますが、これを農業地で十分できるということが実証されています。なぜそれを全国にやらないのか。これは都市でも住宅地でも全部それができます。極端なことをいえば、宇宙から日本を撮ると全部銀色に光っていて、これは何かというと、ソーラーパネルで日本国土を覆っているからだ、ということになります。それをやればいいの...

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