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陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアである一方、ホメイニ革命後はアメリカと激しく対立しているのがイランである。現在も紛争が絶えない中東地域における両国の歴史を振り返りながら、現状と今後について考える。(全10話中第4話)
時間:13:28
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
≪全文≫

●中東の盟主を目指すサウジアラビア


 さて次に、サウジアラビアの話をしたいと思います。サウジアラビアはもちろん皆さんよくご存じで、世界最大の石油生産国です。最近は、石油輸出国連盟であるOPECの主導権を握っています。

 そして中東の盟主を目指しています。サウジアラビアも相当の経済成長をしています。この図を見ていただくと、ブラジルも一緒にあるので――ブラジルは規模が大きいので――目立ってしまいますが、サウジアラビアはオレンジ(のグラフ)ですね。これ以上に目立つのは、サウジアラビアの1人当たりの所得です。

 これをご覧になると分かりますが、サウジアラビアはダントツで、ブラジルよりはるかに高いのです。これは何かというと、石油収入です。そのような国です。石油で生きている国で、そこそこ経済成長しているということなのです。

 ところが、サウジアラビアは最近、石油だけでは生きていけないということが分かっていて、それは脱炭素の問題からです。そこで工業化したいとやっているのですけれど、そこに中国がいち早く目をつけ、全面協力すると言って、サウジアラビアに相当深く浸透しているのです。

 それから、「OPEC+1」と最近いいますが、+1はロシアです。2023年の9月にバイデン大統領が、サウジアラビアに厳しいことを言っていたのですけれど、国内のインフレがひどいものですから、石油の増産を頼みにサウジアラビアに行ったわけです。

 そして、ムハンマド王子と会って議論しましたが、サウジアラビアは明確に答えませんでした。その後、結局増産はしたのですが、本当に米粒のような増産しかせず、アメリカの要望をまったく受け入れなかったことで、アメリカはある意味で恥をかいたのです。そういうことがあったのです。


●石油産業の関係でアメリカと結びつく専制王国


 このように、石油を政治的に非常に活用しているということがあります。それは歴史を振り返ってみると分かりますが、サウジアラビアは、アラビア半島の真ん中にリヤドという首都があります。ここはアラビア半島の後進地域で、欧州諸国はここまで来なかったのです。ですから、「ガラパゴス」といわれていますが、独自の発展をしました。あまり歴史は古くないのですが、第1次王国が1744年から、第2次王国が1824年から...
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