グローバル・サウスは世界をどう変えるか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアである一方、ホメイニ革命後はアメリカと激しく対立しているのがイランである。現在も紛争が絶えない中東地域における両国の歴史を振り返りながら、現状と今後について考える。(全10話中第4話)
時間:13分28秒
収録日:2024年2月14日
追加日:2024年4月24日
≪全文≫

●中東の盟主を目指すサウジアラビア


 さて次に、サウジアラビアの話をしたいと思います。サウジアラビアはもちろん皆さんよくご存じで、世界最大の石油生産国です。最近は、石油輸出国連盟であるOPECの主導権を握っています。

 そして中東の盟主を目指しています。サウジアラビアも相当の経済成長をしています。この図を見ていただくと、ブラジルも一緒にあるので――ブラジルは規模が大きいので――目立ってしまいますが、サウジアラビアはオレンジ(のグラフ)ですね。これ以上に目立つのは、サウジアラビアの1人当たりの所得です。

 これをご覧になると分かりますが、サウジアラビアはダントツで、ブラジルよりはるかに高いのです。これは何かというと、石油収入です。そのような国です。石油で生きている国で、そこそこ経済成長しているということなのです。

 ところが、サウジアラビアは最近、石油だけでは生きていけないということが分かっていて、それは脱炭素の問題からです。そこで工業化したいとやっているのですけれど、そこに中国がいち早く目をつけ、全面協力すると言って、サウジアラビアに相当深く浸透しているのです。

 それから、「OPEC+1」と最近いいますが、+1はロシアです。2023年の9月にバイデン大統領が、サウジアラビアに厳しいことを言っていたのですけれど、国内のインフレがひどいものですから、石油の増産を頼みにサウジアラビアに行ったわけです。

 そして、ムハンマド王子と会って議論しましたが、サウジアラビアは明確に答えませんでした。その後、結局増産はしたのですが、本当に米粒のような増産しかせず、アメリカの要望をまったく受け入れなかったことで、アメリカはある意味で恥をかいたのです。そういうことがあったのです。


●石油産業の関係でアメリカと結びつく専制王国


 このように、石油を政治的に非常に活用しているということがあります。それは歴史を振り返ってみると分かりますが、サウジアラビアは、アラビア半島の真ん中にリヤドという首都があります。ここはアラビア半島の後進地域で、欧州諸国はここまで来なかったのです。ですから、「ガラパゴス」といわれていますが、独自の発展をしました。あまり歴史は古くないのですが、第1次王国が1744年から、第2次王国が1824年から...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの
「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ
齋藤純一
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏