●中東の盟主を目指すサウジアラビア
さて次に、サウジアラビアの話をしたいと思います。サウジアラビアはもちろん皆さんよくご存じで、世界最大の石油生産国です。最近は、石油輸出国連盟であるOPECの主導権を握っています。
そして中東の盟主を目指しています。サウジアラビアも相当の経済成長をしています。この図を見ていただくと、ブラジルも一緒にあるので――ブラジルは規模が大きいので――目立ってしまいますが、サウジアラビアはオレンジ(のグラフ)ですね。これ以上に目立つのは、サウジアラビアの1人当たりの所得です。
これをご覧になると分かりますが、サウジアラビアはダントツで、ブラジルよりはるかに高いのです。これは何かというと、石油収入です。そのような国です。石油で生きている国で、そこそこ経済成長しているということなのです。
ところが、サウジアラビアは最近、石油だけでは生きていけないということが分かっていて、それは脱炭素の問題からです。そこで工業化したいとやっているのですけれど、そこに中国がいち早く目をつけ、全面協力すると言って、サウジアラビアに相当深く浸透しているのです。
それから、「OPEC+1」と最近いいますが、+1はロシアです。2023年の9月にバイデン大統領が、サウジアラビアに厳しいことを言っていたのですけれど、国内のインフレがひどいものですから、石油の増産を頼みにサウジアラビアに行ったわけです。
そして、ムハンマド王子と会って議論しましたが、サウジアラビアは明確に答えませんでした。その後、結局増産はしたのですが、本当に米粒のような増産しかせず、アメリカの要望をまったく受け入れなかったことで、アメリカはある意味で恥をかいたのです。そういうことがあったのです。
●石油産業の関係でアメリカと結びつく専制王国
このように、石油を政治的に非常に活用しているということがあります。それは歴史を振り返ってみると分かりますが、サウジアラビアは、アラビア半島の真ん中にリヤドという首都があります。ここはアラビア半島の後進地域で、欧州諸国はここまで来なかったのです。ですから、「ガラパゴス」といわれていますが、独自の発展をしました。あまり歴史は古くないのですが、第1次王国が1744年から、第2次王国が1824年から...