パレスチナ問題…解決への道
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
パレスチナへの無差別行為…Z世代から噴出する深刻な疑問
パレスチナ問題…解決への道(4)ガザ戦争による変化
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
イスラエルとハマスの武力衝突は、パレスチナ内外に重大な変化をもたらした。歴史の「被害者」としてのイスラエルのイメージは、国内でも欧米でも若い世代(Z世代)中心に変化を余儀なくされている。これまでの通念や主義が通じない新時代の到来を、戦争の双方が見直し、反省すべき時期ではなかろうか。(全5話中第4話)
時間:10分04秒
収録日:2023年12月11日
追加日:2024年2月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●戦争の休止と人質の釈放を求めるという考え方


 皆さん、こんにちは。

 イスラエルは「戦争がまだ数ヶ月も続く」と主張しています。これがハマスに対する威嚇として彼らの抵抗を絶望させるために語られている言葉であるにせよ、戦争が数ヶ月も続くとすれば、今イスラエルが動員している予備役将兵たちの戦争参加を、さらに長引かせることになるわけです。

 この予備役の兵士たちというのは、普段全く兵役と関係のない、例えば一般企業の営業職、工場の技術者、行政の地方公務員など、われわれと何も異なることのない職業を持った一般の人々です。

 彼らを、このようにして数ヶ月も戦地に引き留めておくことは、イスラエルの経済の回復余地、あるいは貿易通商というイスラエルの繁栄や幸福や発展を保障するインフラストラクチャーに対して、大きな打撃を与えることを意味します。

 それならば、彼らにはいち早く職場へ戻ってもらう。つまり戦争に終止符を打つことは、イスラエルにとってまことに重要な利益でもあるわけです。

 実際、アメリカというイスラエルのパトロンでさえ、ブリンケン国務長官が最近、「戦争の休止によって人質解放につなげるべきだ」という考えを公にしただけではなく、ほかならぬイスラエルのヘルツォグ大統領もまた、ネタニヤフ首相の強硬措置に対して異議申し立てをするかのように、戦争の休止と人質の釈放を求めるという考え方を出しています。


●国内でも欧米でも高まる戦争続行反対の世論


 さらに、他ならぬ人質の家族たちが、自らもまだ生存を期待している子どもたち、兄弟たち、肉親たちを総じて釈放するために、現在行われている作戦を終了してほしいということを呼びかけてもいます。

 これまでイスラエルの世論の中に、この種の考え方というのはほとんどなかった。つまり、ハマスというイスラム主義過激派・武装闘争派を壊滅させ、イスラエルの安全保障を獲得するためには徹底抗戦、あるいは徹底して戦争を継続するといった考え方が、これまでのイスラエル世論の多数を占めてきたわけです。

 しかし、現在行われている戦争では、必ずしもそうではなくなってきました。したがって、(2023年)10月下旬に始まったこの戦争は、イスラエルの何かを変え、アメリカの何かを変えたということもできるのです。

 実際にアメリカにおいては、大学のキャンパスを中心に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉
40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」
徳岡晃一郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー
国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?
垂秀夫
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留