パレスチナ問題…解決への道
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ガザの安定と復興は可能か…パレスチナ自治政府の可能性
パレスチナ問題…解決への道(3)ガザ再建への早すぎる問い
政治と経済
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
いかにすればガザの安定と復興は可能なのか。戦争終結が見えてこない現在、このガザ再建への問題提起は現状では早すぎるといわれるだろうが、今後の中東を平和と秩序に導く核心的な問いである。政治主体をパレスチナ自治政府に戻し、「2国家解決案」とヨルダン川西岸の入植中止の問題を誠実に果たすことこそが出発点になるはずだろう。(全5話中第3話)
時間:8分20秒
収録日:2023年12月11日
追加日:2024年1月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●ガザの安定と復興はいかにして可能なのか


 皆さん、こんにちは。

 ガザにおいてまだ戦争終結が見えてこない現状においては、次のような質問というのはまだ早すぎるかもしれません。それは、ガザの安定と復興はいかにして可能なのかという(ことです。)これは早すぎる問いかもしれませんが、一応私たちのシナリオとして、この不幸な悲劇を甘受せざるを得なかったガザ市民のために、やはり考えざるを得ない問いではないかと思います。

 パレスチナのインフラを作り、あるいは再建しては、また壊され、あるいは壊すという行為に出る人たちは、これまでもたくさんいました。そのため、中東に対する欧米の支援などにあるように、インフラ整備や再建を嫌悪する傾向が出てきます。西側の欧米や日本には、そういうインフラ整備や再建を嫌悪する一種のニヒリズム(援助ニヒリズム)の立場が、一部で見られます。

 たとえどの国であろうと、こうした気持ちは、納税者の立場から見ると分からぬわけでもありませんが、パレスチナに老人、婦女子、子ども、乳幼児といった、紛争で被害を集中的に受ける弱者が厳然として存在していることは事実です。

 これらを救い、そしてガザを再建できる人々、これは国内の人間たち──私たちのような外国人や国連といったようなものではなく──もちろん、最初にして最終的に必要なのはパレスチナの人々を代表する政治主体は誰か、何かという問いにつながります。


●パレスチナ自治政府の問題点と誠実な面


 私は、やはりこれはあくまでもパレスチナ自治政府以外にはないと思うのです。パレスチナ自治政府は確かに腐敗や汚職にまみれた組織だという声をよく聞きます。しかし、考えてみると、残念ながらアラブ諸国、特にアラブの共和国の政権で、過去も現在も腐敗や汚職が皆無であったような国、あるいはそれらを克服した政治家たちが果たしていたのかどうか。このような、それこそニヒルな問いに向かわざるを得ないのです。

 問題の本質は、やはり戦争と平和という点にあるのではないか。ハマスは戦争を選び、そしてパレスチナ自治政府は何といわれようとも平和を維持してきた、そういう側面はきちんと見なければならないと思います。

 独裁や暴力に苦しみながら、革命やイスラムの原理主義や闘争主義などに従うのか。あるいは腐敗や汚職は確かに不愉快なことですが、当面は競争的...

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