イスラエル対ハマス…その背景、影響、未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ネタニヤフ首相の政治責任と中東の未来…何が否定されたか
イスラエル対ハマス…その背景、影響、未来(4)中東の未来は?
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
これまで中東和平では、「two state solution」と呼ばれる2国家並立・共存案が模索されてきた。だが、イスラエルのネタニヤフ首相は元来、そのようなあり方を否定する行動を重ねてきた人物である。国内での汚職への批判も根強いが、今回のハマスによる攻撃によってイスラエル国内で大きな被害を生んでしまったことで、政治責任を問う声が高まるのは必至であろう。一方、中東の民主化の未来にも、暗い影がさしこむこととなった。はたして、中東の未来はどうなるのか?(全4話中第4話)
時間:9分33秒
収録日:2023年10月17日
追加日:2023年10月26日
≪全文≫

●ネタニヤフの政治生命にダメージが与えられた


 皆さん、こんにちは。イスラエル軍の地上侵攻がささやかれている現在、ガザの問題の行く末については、まだ見えない部分が多いです。しかしながら、この作戦がどのようなものになろうと、ポスト・ガザ作戦ともいうべきもので見えてくる中東の風景について、私なりに注目しておきたいと思います。

 まず第1に、イスラエルの問題に関していえば、ネタニヤフ首相の政治責任が、あらためて問われると思います。ネタニヤフの政治生命にダメージが与えられたと言ってもよろしいかと思います。

 この政権は宗教右派を中心とする極右の保守的な宗教諸政党を連立の有力パートナーとして取り入れた、ネタニヤフのリクードを軸とする連立内閣です。この連立内閣は基本的に、ハマスはもとより、パレスチナ自治政府も含めて、パレスチナ人とのあいだで妥協しないという立場を取ってきた政権です。とりわけ、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区への入植地の建設と拡大ということで顕著に特色づけられる政権です。

 彼らは、中東におけるアブラハム合意や、私がいうところの「競争的共存」ということに関して、ある一方的な、そして歪んだ(歪んだという言葉がきつければ「疎外された」)見方をしてきた点が特徴です。

 パレスチナ人の自治権や、オスロ合意に基づく自治国家から独立国家への成長、そしていわゆる「two state solution」と呼ばれる2国家並立・共存案――ユダヤ人国家と、アラブ人(パレスチナ人)国家の共存案――をつくりあげていくことが、両者の折り合う妥協の線にあったわけです。

 しかし、これを無視して「そういうものをつくらなくていい」(とネタニヤフ連立政権は考える)。ヨルダン川西岸にどんどん入植地を建設し、拡大していくというのは、そういうことですね。つまり、西岸を軸にしてつくっていくパレスチナ人の独立国家の建設を認めようという気持ちがあれば、西岸に多くの入植地をつくる必要はないのです。

 こういう「入植地を拡大して構わない」という非常に尊大な、あるいは一方的な、そしてパレスチナ人とユダヤ人双方の信義則ともいうべきものに反したような、こうした一種の間違い、非常に歪められた考え方。これが今回、思わざるかたちで、彼らがガザに封じ込めていたと考えていたハマスから、手ひどい攻撃を受けたということです。

 何で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(2)「出挙」と国司の仕事
地元の有力者の力を借りるために大伴家持が詠んだ歌とは?…今も奈良時代も変わらない中央官僚と地元有力者の関係
上野誠
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉