パレスチナ問題…解決への道
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真空状態に望まれる人材と未来の展望…戦後のガザを考える
パレスチナ問題…解決への道(5)ガザ戦争終結後の展望
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
戦後のガザを考えることは、戦争の不毛性について考えることにもつながる。ガザに必要なのは、これまでとは違う仮に「ガザ再建統治機構」あるいは「ガザ臨時政府」といったものであり、パレスチナ内外からの支援を受け入れて被害者に援助を届ける政府主体である。ガザを再建するのは、パレスチナ人によるパレスチナ人のための活動である。しかし、限りのない、勝利のない戦争へとつながる可能性を残している現在、そうした未来への展望ははたしてどうなるのか。(全5話中第5話)
時間:13分18秒
収録日:2023年12月11日
追加日:2024年2月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●戦後のガザと真空状態に望まれる人材


 皆さん、こんにちは。

 ガザ戦争について触れてまいりましたが、この戦争の結果、戦後のガザは一体どうなるのでしょうか。そうした見通しについて、少し考えてみる必要があります。そうしたことを考えることによって、ひいては戦争の長期にわたる不毛性というものについても語ることになるかと思います。

 もちろんいかなる地域においても、統治機構ないしは政府というものが存在しなければ、実際の人々の生活や日々の活計(たづき)というものを得る安定性は得られません。

 ガザにおいても、あえて仮定的に申しますと、「ガザ再建統治機構」や「ガザ臨時政府」とでもいった名称のものが作られる必要があります。というのは、これまで実効支配をしていたハマスという統治主体が消え去り、少なくとも統治能力を失ったために、ガザにはいわば権力の真空状態が生まれたということです。

 こうした真空状態を埋めて跋扈するのは、常にギャングのような不法で政治性を欠如した犯罪団体であったり、あるいはアナーキー(無政府)状態を利して実現不可能な政治的主張をするような、少数の行動主義的な団体などの人々だったりします。このいずれをもってしても国際的な支持を得られないし、ガザの人々を助けることは最終的にはできないわけです。

 このように、統治主体あるいは確たる政治機構なしには、人々の生活はできないばかりか、外から援助を受け入れることもできません。国連であれ、あるいは何らかの有志連合(コミッション)であれ、あるいはアラブ産油国を中心にしたアラブの友好国の連合体などの人々がパレスチナ・ガザ地区に対して援助をしようとしても、そこには援助を受け取るガザ側の主体というものが必要になるわけです。

 ガザ再建統治機構とかガザ臨時政府といったものが仕立てられる必要性があるというのは、すなわち外からの援助を受け入れていく、そして援助を円滑に人々の手元に届けていく役割を、責任をもって果たす人々が必要になるということです。

 こうした人たちをどう作っていくかということを、われわれはこの戦争のプロセスの中でも前を見据えた未来展望として、少しでも未来に希望や展望をもたらすという意味で考えなくてはなりません。


●穏健派アラブ諸国が賛成する新たな主体の樹立


 ハマスが統治に戻ることはあり得ません。...

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