イスラエル対ハマス…その背景、影響、未来
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オスロ合意・アブラハム合意を潰す…ハマスやヒズボラの狙い
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ハマスの攻撃と悲劇連鎖…ガザ地区統治者としての責任は?
イスラエル対ハマス…その背景、影響、未来(1)3つの視点
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
2023年10月7日から、パレスチナのガザ地域を実効支配するハマスが、イスラエル領内に向けた攻撃を開始。数千発のロケット弾による攻撃や、1500人ともいわれる地上部隊の侵攻により、1000人を超えるイスラエル市民や外国人が無差別に殺害され、あるいは拉致される痛ましい事態になった。これに対して、イスラエルは反撃を加え、ガザ地域でも民間人の犠牲者が出ており、痛ましい事態が連鎖している。この軍事衝突をいかに見るか。山内昌之氏は、3つの視点があると指摘する。(全4話中第1話)
時間:11分12秒
収録日:2023年10月17日
追加日:2023年10月23日
≪全文≫

●ハマスの「戦略的な攻撃」とイスラエルの論理


 皆さん、こんにちは。パレスチナのガザ地区において、たいへん痛ましく悲劇的な衝突が生じました。

 パレスチナ自治区のガザを実効支配しているハマスが、イスラエル領内に、陸海空から分かれて非常に組織だった攻撃を行ないました。イスラエルへのロケット弾連射に加え、地上からは1500人以上とされるハマスの戦闘要員が領内に侵入したのです。折から、ガザに隣接していた地域で開かれていたイスラエルや外国からの若者たちが参加している祝祭(フェスティバル)を襲うことになりました。その一部については拉致・誘拐し、ガザ領内に引き立てていったとされています。

 その後、イスラエル軍もまた反撃を試みて、その攻撃の一部についてイスラエルは明らかにすることになりましたが、現在のところ、イスラエルの国内で1000人以上が無差別に殺害され犠牲になったことへの報復を求める声が、イスラエル世論から出てきています。

 特に、今いちばん懸念されるのは、イスラエルの陸海空の三方向、とりわけ地上軍が侵攻することによって、ガザの一般市民たちが巻き添えになることです。これによって、多くのパレスチナ人が老若男女を問わず犠牲になる、痛ましい事態が懸念されています。

 基本的には現段階で、こうしたイスラエル軍の全面侵攻を防ぎとめていくための国際努力や、国際世論の圧力が必要ではないかと思います。

 ここで普通の日本人なら、「ハマスが現在、拉致した人質をまず解放・返還することによって誠意を見せる。それによって国際世論がハマスの姿勢を評価して、イスラエル軍の全面侵攻を少しでも止めるような方向へと政治の流れが動いていかなければ」と考えるでしょう。しかし、その日本のような考え方は、ほとんど国際的に見て、とりわけ中東においては、残念ながらそのまま通るとはかぎりません。何よりイスラエルとしては、報復しないとネタニヤフ政権そのものが持たないと考える。それがイスラエルの国家であり、国民性なのです。

 もっと限定的に申しますと、現在のネタニヤフ政権は、宗教右派による極右に近い保守派の連立政権です。彼らからすれば、イスラエル国家の殲滅や地上からの抹殺を高らかに唱えているハマスの存在そのものでさえ許されないはずなのに、そのハマスによって、イスラエルの市民が白昼、問答無用で拉致されたり、殺...

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