●イスラエルのナタンツへの反撃が意味したもの
皆さん、こんにちは。
先日は、これまでのイランとイスラエルにおける両国間の直接の応酬についてお話ししました。特にイラン側においては、イスラエルに対する直接攻撃や直接的なブラフを慎重に避けてきたのが、その敷居を越えたのではないか、あるいは敷居ギリギリのところにいるのではないかということでした。
そのようなイランのイスラエル本土に対する攻撃に対して、イスラエルのほうはイラン中部のナタンツという核開発施設と目される地域を攻撃しました。公には核の「研究施設」と語られている地域を防衛しているレーダーに対してミサイル攻撃を仕掛け、成功するという形で報復したわけです。
これは、なかなか意味深いことで、イスラエルはその意味について語っておらず、そもそも攻撃したという事実を認めず、何もコメントしていません。しかし、これはイスラエルからすると、イランのミサイル防衛システムというものが、いとも容易に突破できるものであることを間接的に見せたということです。
つまり、核施設そのものを攻撃するというイラン・イスラエル両者の直接的な対決、確実に戦争を招くような事態にすぐエスカレートするのではなく、その前段として、イランに対する警告を与えた。また、ハーニヤ代表を、いともたやすくピンポイントで暗殺する力を見せた。すなわちイランの防空システムを突破し、そうした行為をピンポイントで行う能力、さらにナタンツの防衛システムを壊す能力を見せつけたわけです。
これらが何を意味しているか簡単にいうと、イスラエルにとってハメネイ最高指導者の居場所や居住地点に対する攻撃はいともたやすいことだということです。そのような攻撃ができると匂わせ、示唆し、あるいはブラフとして示した。このことは、イランにとって非常に大きな衝撃だったと思われます。
したがって、イスラエルの与えたメッセージは、非常に確実で誤解しようのないものです。イランの次の行為やそれに対する報復行為如何によっては、イスラエルも報復し、エスカレートするということ。エスカレートというのは、今回のナタンツやテヘランのハーニヤに対する攻撃よりも、さらにエスカレートするようなものになるということを示しているわけです。ですからイランとしては、非常に慎重なものにならざるを得ない。
したがっ...