ペゼシュキアン大統領とイラン・イスラエル
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「沈黙の作戦」からの逸脱!?イランの大規模攻撃の意図
ペゼシュキアン大統領とイラン・イスラエル(3)沈黙からの一歩
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
イランによるイスラエル本土への攻撃は、従来“だんまり”が続いてきた両国関係から新局面への一歩と見られている。いずれも高度に政治的な両国において、「沈黙の作戦」は華々しい行為以上に効果を表してきたが、今や国際世論はイスラエルの非人道性非難に集中している。今後のガザをより注視する必要があるだろう。(全4話中第3話)
時間:9分57秒
収録日:2024年8月7日
追加日:2024年10月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●華々しい行為に値する“だんまり”の効果


 皆さん、こんにちは。

 歴史におきましては、言葉や行動というものが非常に華々しく(英雄的に)見せるほどの政治の振る舞いというものがあります。しかし、言葉や行動が華々しくても、実際にはむしろ予期せぬ危機や破滅を招くことがあります。つまり、そういう派手な行為というか、行動が華々しければ華々しいほど、実際に生じてくる政治の結果は、予知したような成功や勝利ではなく、むしろ危機や破滅を招くことがある。したがって、中東においては、一見すると派手そうに見えることをしながら、それに対して「自分がやった」とか、「自分が報復した」とか、そういうことを語ることは、それほど単純には行われないのです。

 イスラエルとイランという、政治において端倪すべからざる面を持ち、非常な複雑性を持つ国の間においては、こうしたことに関して、単純に言葉で派手なことを言ったり、行動において目指すことをするというようにはならない。言葉で語ることと行動で示すことがイコールにはならず、ときとして“だんまり”を決め込むこともあるわけです。

 いわゆるだんまりというのは、日本人の皆さまであればお分かりだと思いますが、歌舞伎などから一つ例を挙げると、「加賀鳶(かがとび)」があります。「加賀鳶」には、暗い闇の中で、ものを語らず無言で探り合いをしていくようなシーンがあります。これはしばしば、いろいろな舞台でも見られます。

 そして、ときには敵と自分、自分と相手が暗がりの中で、言葉を出さずに探り合いをやっていくわけですが、かすかに体がかすったり触ったりするときに、ある種の「え!」という、危機的なところまでは行かないけれど、ある種の警告を発したり、警告を感じたりするような仕草を感じるような間合いがある。いってしまえば、「加賀鳶」も顔負けのだんまりというものが演じられることが多いのです。


●危機のエスカレーションを封じ込めるだんまり


 現在の局面では、これまでやってきたような、ある種のだんまり中心のイスラエル・イラン関係から、根本的に変わった局面(フェーズ)に入るということ、歴史学的にいえば「新しい局面に入る」ということを、私は今、見ているところなのです。

 そこへ行く前に、だんまりというものを例にして私が語ろうとしている両国関係の特徴としては、例えば(2024年)4月に...

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