グローバル・サウスは世界をどう変えるか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
驚愕的インフレを克服したブラジルの奇跡と強さの秘密
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(5)多民族国家ブラジルの強さ
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
グローバル・サウスで注目される6カ国の最後はブラジルである。南米最大の多民族国家として、文化やスポーツなどさまざまな面で注目を集めており、世界の中でもその開放的な国民性には関心が高い。しかし、政治では腐敗やスキャンダルに揺れた時期もあり、さらに激しいインフレに苦悩した経済的危機も経験した。今回の講義では、ブラジルがそれらをどのように乗り越えて発展してきたか、歴史を振り返りながら解説する。(全10話中第5話)
時間:7分58秒
収録日:2024年2月14日
追加日:2024年5月1日
≪全文≫

●開放的な民族性が象徴するブラジルの息吹


 それからブラジルですね。ブラジルは今、イナシオ・ルーラさんという大変人気のある人が大統領をやっていますけれど、ちょっと前まではボルソナロという、「俺は南米のトランプだ」といったりするとんでもない人がいました。なんとかルーラさんが返り咲いてよかったのですが、ブラジルの歴史を振り返ってみたいと思います。

 ブラジルは19世紀まで、ポルトガルといわば二重型の帝政という形で存在しました。そして1888年の奴隷制廃止を契機に、軍部がクーデターを起こし、ポルトガルが植民地をやめ、ブラジルは共和国になりました。

 ポルトガル人とスペイン人では、大変対応が違ったようですが、ポルトガル人は現地の住民とか先住民や黒人などと結婚するのは全然構わないといいます。ですから、ブラジルに行くと褐色の肌の美人がたくさんいるわけです。ミス・ユニバースにもなっていますが、やはり混血の結果なのでしょうか。そして多民族国家です。日本人(日系人)は150万人以上で、今は第6世代になっていますけれど大活躍しています。

 これが、ブラジルのそういう開放的な民族性とつながっているのかなという感じがします。実は私は、ここの普通では見られない工場に行ったのです。実は中小型航空機をつくっている世界一の工場はカナダのボンバルディアだったのですが、それを追い抜いたのです。

 ちょうど追い抜いた頃に行ったのですが、エンブラエルという会社があるのです。自分のところでは事実上あまり作っていないですけれど、世界中から部品を取り寄せて作っているという、非常に静かできれいな工場で、素晴らしい飛行機をたくさん作っているのです。これはやはり、多民族の強さというものがあるような気がします。


●驚愕的なインフレを引き起こす


 20世紀にコーヒー生産を始め、農業はすごく盛んで、そして工業もやろうということになります。しかし、奴隷は廃止しているものですから、外国人が必要ということで、移民がどんどん入っていきました。日本からも「笠戸丸」の船で第一弾の移民が行っているわけです。

 1930年から1945年まで、長期政権をヴァルガス大統領がやりましたが、これは資源の輸出ではなくて、加工品の産業化をしようと頑張ります。それで世界...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ