●開放的な民族性が象徴するブラジルの息吹
それからブラジルですね。ブラジルは今、イナシオ・ルーラさんという大変人気のある人が大統領をやっていますけれど、ちょっと前まではボルソナロという、「俺は南米のトランプだ」といったりするとんでもない人がいました。なんとかルーラさんが返り咲いてよかったのですが、ブラジルの歴史を振り返ってみたいと思います。
ブラジルは19世紀まで、ポルトガルといわば二重型の帝政という形で存在しました。そして1888年の奴隷制廃止を契機に、軍部がクーデターを起こし、ポルトガルが植民地をやめ、ブラジルは共和国になりました。
ポルトガル人とスペイン人では、大変対応が違ったようですが、ポルトガル人は現地の住民とか先住民や黒人などと結婚するのは全然構わないといいます。ですから、ブラジルに行くと褐色の肌の美人がたくさんいるわけです。ミス・ユニバースにもなっていますが、やはり混血の結果なのでしょうか。そして多民族国家です。日本人(日系人)は150万人以上で、今は第6世代になっていますけれど大活躍しています。
これが、ブラジルのそういう開放的な民族性とつながっているのかなという感じがします。実は私は、ここの普通では見られない工場に行ったのです。実は中小型航空機をつくっている世界一の工場はカナダのボンバルディアだったのですが、それを追い抜いたのです。
ちょうど追い抜いた頃に行ったのですが、エンブラエルという会社があるのです。自分のところでは事実上あまり作っていないですけれど、世界中から部品を取り寄せて作っているという、非常に静かできれいな工場で、素晴らしい飛行機をたくさん作っているのです。これはやはり、多民族の強さというものがあるような気がします。
●驚愕的なインフレを引き起こす
20世紀にコーヒー生産を始め、農業はすごく盛んで、そして工業もやろうということになります。しかし、奴隷は廃止しているものですから、外国人が必要ということで、移民がどんどん入っていきました。日本からも「笠戸丸」の船で第一弾の移民が行っているわけです。
1930年から1945年まで、長期政権をヴァルガス大統領がやりましたが、これは資源の輸出ではなくて、加工品の産業化をしようと頑張ります。それで世界...