●地球環境問題の抜本原因が人口増加なら、人口を減らせばいい!?
――【質問1】地球温暖化の原因についてです。人間活動と自然への影響について、人口が増えることの地球温暖化の影響はあると思うのですけれど、それはどう考えればよろしいでしょうか。
沖 おっしゃる通りで、温暖化に限らず地球環境問題の抜本原因は人口が増えたこととエネルギーの使用量が増えたことです。エネルギーが増えたことに関連して、私たちが必要とする土地もどんどん増えている。そういうものが利いていると思うのです。
では対策として、人口を減らすのがいい(のか)というのはどうですか、皆さん。そういうことをいう学者も(います)。10年ぐらい前に、実際そういう論文を書いた方々がいて、かなりバッシングを受けました。
それはなぜかというと、産めよ殖やせよの時代でないにしても、自分の仲間はある程度いてほしい。あるいは、今いる人は別に死ねといわれたくないですよね。「生きているのが悪い」みたいにいわれるのは不服だということで、おそらく感情的なバッシングを受けたと思います。
幸いなことに今回のシリーズ(早稲田大学LRC講座)の中で授業を受けられたと思いますが、世界的にも、今世紀の半ば以降どこかの時点で、世界人口はピークを迎えます。その前後、21世紀後半はいちばん地球上が人類で満ちあふれて、混雑して、大変な時代です。22世紀になれば案外持続可能になるのではないかなと、私は期待しています。
●気候変動と持続可能な開発:リスク・システム・生態系
沖 そういう意味では、この図で1ついえるのは、まず名前として気候変動に対して強靱な開発――開発とはデベロップメントの訳で、地球環境あるいは自然環境が大好きな方の中には、デベロップメントというのは何か自然破壊するから困るというネガティブな印象をお持ちかもしれないですが――持続可能な開発というように、デベロップメントというのは「エンベロープ」(封筒)を「デ」、すなわち取り除くことです。つまり、本来隠れている才能を、あるいは機能を表に出すという意味なのです。
なので、人材開発もデベロップメントですけれど、もともとあるポテンシャルを引き出すのがデベロップメントなので、持続可能な開発も何かを壊すという意味ではなくて、本来、持続可能にしていくような自然の...