水から考える「持続可能」な未来
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漏水・破損事故が年間2万件以上…水道インフラ老朽化問題
水から考える「持続可能」な未来(6)インフラの老朽化問題と超越人材
科学と技術
沖大幹(東京大学大学院工学系研究科 教授)
日本の水道インフラは老朽化が進み、いろいろなところでほころびが見え始めている。また、水資源の偏在を防ぐために「水みんフラ」の構想があるが、気候変動による激しい豪雨をはじめとする異常気象に対応できるインフラを整えるのは容易ではない。ではどうすればいいのか。今回はそのための対策について、超越人材の話を挟みながら解説する。(2024年9月14日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第6話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分47秒
収録日:2024年9月14日
追加日:2025年4月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●ほころび始めた「水みんフラ」…水道インフラの老朽化問題


沖 それ(水のインフラ)は自然の条件だけですけれど、実際は安定して供給できるような施設をつくるのが大事だということです。それが「水みんフラ」だったわけなのですけれど、ここで、もう他の授業(早稲田大学LRC講座)でも(お話が)あったかもしれませんが、インフラの老朽化が起こっています。

 水の場合、例えば水道でいいますと耐用年数を超えているのが2割ぐらいで、農業用水施設も2割ぐらいあります。また、こういうことをいうと、財務当局とマスコミの一部は「予算が欲しいからそんなことを言っているのでしょ」と言うわけです。

 でも、これは21世紀になってからずっと言っていたのですが、社会では「お金もないし、まあいいんじゃないの」ということになっていたのです。けれど、例えば道路でいうと、笹子トンネルの内側の落下事件で人が亡くなりましたが、あれを契機に、本当に老朽化すると困るということがようやく認識されて、予算が付くようになったのです。研究開発も進むようになりました。(この講義の後、2025年1月に埼玉県八潮市で、下水道管の老朽化に起因するとされる道路陥没事故が発生)

 水も、もう少しなのか、もうそろそろみんなが気づいたか、分からないのですが、例えば上水道の漏水・破損事故が噴き上げるようにビジュアルが良ければテレビの夕方のニュースで10秒ぐらい「ここ、噴いています。大変ですね」みたいなものが報じられます。だいたいは道路の下で、車の振動で漏れ出してということで、じんわり来ているものを含めると、年間、なんと日本全国で2万件以上起こっているのです。

 下水道の陥没は道路が凹むので、これまた交通事故が起こったり、人がそこで落ちたりすると大変なのですが、それも4、5000件起こっているように、ほころび始めています。和歌山(県)では(六十谷)水管橋が老朽化で落下して、6万世帯ぐらいの水が2週間ぐらい使えなくなりました。

 あるいは明治用水の頭首工という水を取る施設で水が貯まらなくなって、単に農業用水が順番に使わなければいけなくなっただけではなくて、小さな火力発電所があって、そこの冷却水として川から取った水を使っていたのですが、そこが操業できなくなりました。あるいは車の組み立て工場があったわけですけれど、...

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