●冬も夏も快適な住まいのために、日本の住宅を「断熱」から考える
皆さん、こんにちは。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の前真之です。私は25年間、住宅の省エネルギーや快適性について研究をしてまいりました。本日は「断熱から考える1年中、質の高い快適で健康な住環境」について、いくつかのトピックで皆さんと考えていければと思っております。
「断熱」という言葉は、最近少し耳にするなと思われた方もいらっしゃるかもしれませんけれど、まだまだ日本では理解されていません。本日、この断熱というキーワードから日本の住宅、建築を考えてみたいと思います。
では今回のトピックです。まず、日本の冬の寒さを認識して、これが今、ヒートショックにつながっているという問題があるわけです。さらに、最近は本当に毎年夏が暑くなっているという深刻な温暖化の影響があります。ですので、この夏の暑さがどれだけ厳しいかと、しっかり認識しましょう。
次に、なぜ断熱すると冬の暖房では暖かく、夏の冷房では涼しくなるのかということです。この断熱が足りないので日本の家は冬寒く、夏暑いのです。だから断熱すると冬は暖かくなる、夏は涼しくなるのですけれど、そのメカニズムを始めにしっかり見ていきましょう。
次に、夏の暑さ対策です。(先述しましたが、)皆さん、もしかしたら遮熱という言葉を聞かれた方がいらっしゃるかもしれません。断熱をすると暑くなるのではないか。(それなら)遮熱で十分ではないかと。実はこれは違うのです。これもしっかり理解していただきます。
次です。冷房は我慢するべきではないかというものです。昔は夏になると、「冷房を我慢しましょう」「冷房を切りましょう」「設定温度を上げましょう」と、ずいぶん言われていました。何か冷房をつけるのは悪いことなのではないかと、ぜいたくではないかと思っている方がいらっしゃるのですけれど、どうなのでしょうかということです。
次は断熱です。では、それが必要だとして、どこまでやればいいのかということです。これも目安をお話ししたいと思います。
あと、断熱だけすれば暖かくなるのかということです。これは断熱とともに、一緒に行うべきことをお伝えします。
あと最後に、断熱が大事だということは分かったけれど、今住んでいる家をどうしよ...