断熱から考える一年中快適で健康な住環境
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増える熱中症による救急搬送…日本の建物の「4つの弱点」
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(2)日本の夏の暑さと建物の弱点
前真之(東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授/博士(工学))
夏の暑さが年々厳しくなっている日本だが、100年前と比べると特に東京の場合、真夏日が2倍以上の90日、つまり3カ月続くというデータが出ている。中でも注意すべきは熱中症で、室内の高温化によって救急搬送されるケースが増えている。また、最近増えているのが「教室が夏に暑いので、生徒たちがかわいそうだ」という学校からの問い合わせである。実際に調査して分かったのは、非常に不健康で危険な校舎の現状である。どういうことなのか。今回は、日本全国に広がる夏の暑さの状況をデータで確認した上で、日本の建物の弱点ともいえる基本性能の問題点を解説する。(全6話中第2話)
時間:13分00秒
収録日:2024年6月20日
追加日:2024年8月18日
≪全文≫

●データで分かる日本の夏の酷暑化


 日本は、決して冬が暖かい国ではないということを認識していただいたわけです。今度は夏の暑さについて見ていきたいと思います。年々、夏の暑さが厳しくなっているということは、皆さんも感じていらっしゃると思います。ここでは1920年代、およそ100年前から2023年にかけて、どれだけ暑さが厳しくなったかを気象庁のデータから見てみたいと思います。

 まずこちらは、年間の中で最高の気温がどのようになったかということを、那覇、福岡、前橋、東京、仙台、盛岡、札幌で比較したものになっています。赤い線の東京を見ていただきますと、1920年代、100年前は年間で最高気温が34.8度であったものが、2023年には37.7度になりましたので、3度上がっているということになるのです。

 ただ、3度上がったといわれても、いまいちピンと来ないという方も多いと思いますので、次に、暑い日がどれだけ発生していたかという日数で見てみたいと思います。

 まず、1日の最高気温が30度を超える日を「真夏日」といいます。この真夏日を見てみますと、那覇は別格で、昔から非常に真夏日が多いということになるのです。赤い線の東京を見ていただきますと、1920年は年間40日ぐらいだったものが、2023年には90日です。だから、100年前は1カ月ちょっとくらいかというところですが、今は丸々3カ月です。夏の間は連日のように真夏日になるということで、はっきりと暑い日が増えているということが分かるわけです。

 また、仙台、盛岡、札幌のように比較的寒冷であった地域も、2000年頃まで真夏日は20日を超えていないかなというくらいだったものが、2023年には一気に増えているということです。仙台、盛岡でも、66日、58日ということですから、2カ月丸々真夏日です。札幌でも30日で、1カ月分真夏日が来るということです。寒冷な地域はあまり冷房をしていない地域が多いわけですけれど、本当に気をつけなければいけないのです。夏の暑さが日本全体で厳しくなっていることが分かります。

 次に、さらに暑い日です。日最高気温が35度を超える日を「猛暑日」というわけですけれど、こちらはもう日本全国で、1980年までほ...

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