ヒトの性差とジェンダー論
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
ミミズ、アンコウ、植物…こんなに違う性決定の多様性
第2話へ進む
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授/日本芸術文化振興会理事長)
近年、「LGBTQ」ということばが人口に膾炙し、いろいろ性のあり方についての議論が多く行われるようになったが、そもそも生物学的な性、その違いについては周知されていないのではないだろうか。いったい性とは何なのか。性差はどのように生まれるのか。ヒトや哺乳類はもちろん、単細胞生物にまでさかのぼって、進化と生物学に基づく知見をうかがっていく。(2024年5月18日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第1話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分40秒
収録日:2024年5月18日
追加日:2024年8月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●性とは遺伝的な多様性を子孫につくりだす方策


── 本日は長谷川眞理子先生に、「ヒトの性差とジェンダー論」ということでお話をいただきたいと思っています。長谷川先生、よろしくお願いいたします。

長谷川 どうも。よろしくお願いいたします。皆さん、よろしくお願いします。

―― 最初に、先生が問題提起としてお書きくださっていますが、昨今「LGBTQ」ということで、いろいろ性の問題というものが社会問題としても大きく浮上しています。一方で、いわゆる生物学的な見地から見た「性差」とはどういうものなのか。それが具体的に、あるいは社会的に考えたときにはどうなるかということについて、今日はぜひお話をうかがっていきたいと思います。

長谷川 はい。

―― ボーヴォワールの有名な言葉に「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」という言葉があったりいたしまして……。

長谷川 まったく反対ですよね。正反対ですよね(笑)。

―― そのあたりのことも含めて、では生物学から考えるとどう社会が見れるのかということで今日はお話を伺ってまいりたいと思います。

長谷川 はい。

―― そうしますと、まずそもそも性とは何かというところでは、どういうことになりましょうか。

長谷川 私たちは哺乳類で、体に何個も細胞がある多細胞生物です。性というと繁殖(生殖)と合致したものと思われがちですが、性の起源をたどると、性というのは別の個体と遺伝子を混ぜ返して、自分の子孫に違う遺伝子構成を持たせるのが有利だったということです。

 同じものを分裂していくと、全部が芽を出したとしても、全部同じものです。そうではない多様性をつくるほうが有利だったということで始まったので、性と繁殖(生殖)は本来別のものなのです。

 なので、「性とは何か」といったら、それは遺伝的な多様性を子孫につくりだす方策です。

―― なぜ多様性を持ったほうが有利になるのですか。

長谷川 それは、次から次と世代が変わった後に、どんな環境になるか。(例えば)子どもが水に乗って流れて行って生まれた先やたどり着いた先などには、どんな環境があるか。親とまったく同じであることは少ないのです。

 分裂をいかにたくさん行って、1000個の子どもを作ったとしても、全部同じだとすると、うまくない環境に行ってしまうと一網打尽で全...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉
『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏