ヒトの性差とジェンダー論
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
原型は全て雌型…雄化が大変な哺乳類の性決定プロセス
ヒトの性差とジェンダー論(4)哺乳類の性決定と脳の性分化
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
哺乳類は全ての個体がまず雌になることがデフォルトとしてつくられている。そこから雄になる(雄化)ためには、性決定遺伝子XYのうちY染色体さえあればいいというわけではないという。受精卵の初期からさまざまな遺伝子やホルモンが働き、雌になるべき道筋を消して雄になっていく。さらに脳の働きにも同様のプロセスがある。いったいどういうことなのか。LGBTQが生まれるプロセスにも触れながら解説する。(2024年5月18日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第4話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分45秒
収録日:2024年5月18日
追加日:2024年9月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●内部生殖器を決定するプロセス


── そのような性の問題については、「では、性がどのように決定されていくのか」というお話を先生にお聴きしたいと思います。いかにして、特に哺乳類の場合、性が決まっていくかというところをお願いします。

長谷川 哺乳類は本当に難しくて、もともと哺乳類は全ての個体が、何もなければ雌になるというのが、デフォルトとしてつくられています。ですので、先ほど(第1話で)ボーヴォワールは「全然反対だよね」と言ったのは、「女としてつくられる」のは社会的にはそういうところはありますが、生物学的に哺乳類は全部、原型が雌型だったのです。

 それが、ご存じのように、XYという性決定遺伝子のうち性染色体のYを持っていると、雄のほうに変わるわけです。これはYがありさえすればいいわけではなく、Y染色体の上にSRYという遺伝子があり、受精卵の初期にそのSRYが働き始めると、一連の作用が起こって、ホルモンが出てくる。本来、ただそのままにしておいたら雌になるものを雄につくり替えていくわけです。

 例えば、受精卵の初期のときには、XX個体にもXY個体にも、どっちにもなれる未分化な生殖器を備えています。何もなければ、それが卵巣になるので、雌になります。しかし、発生の初期にSRYが働くと精巣になって、テストステロンが出ると、未分化なものを雄化するように進むわけです。

 最初はミュラー管とウォルフ管という両方を備えた未分化のものです。何もなければ青いほうのウォルフ管という精巣・精管になるべきところが消えていて、赤いミュラー管と卵巣に自然になります。

 SRYがあって、そのSRYの遺伝子が周りの組織に働きかけると、青いほうのウォルフ管が残って、その先端にあるのが精巣になるわけです。

 しかし、それだけではなく、今度はウォルフ管が精管になり、最初は原基であった元のタイプが精巣になればいいのだけれど、哺乳類は「雌になるようにできている」というところが非常に強いので、本当に雄にするには、ミュラー管のほうを消さないといけない。(つまり)テストステロンが働きかけることによってウォルフ管のほうで精管をつくるだけでは両方になってしまうから駄目で、本...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
日本の財政の真実を検証する(5)財政政策で経済は成長するか
どうすれば経済成長できるのか…財政政策の可能性と限界とは?
宮本弘曉
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(5)孝公・恵文王の時代と商鞅の変法
秦はいかに強大な国になったのか…「商鞅の変法」でどう改革したか
鶴間和幸
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫