ヒトの性差とジェンダー論
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ミミズ、アンコウ、植物…こんなに違う性決定の多様性
ヒトの性差とジェンダー論(2)卵子と精子と性決定
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
多細胞生物の配偶子は卵子と精子の2種類に分かれている。卵子は大きく栄養があるが、動きにくい。精子は小さいが、よく動く。この両者が合体して次世代の多様性が保全されるのだが、卵子と精子の分断によって、その性には雌雄同体、性転換、矮雄、雌雄異体などさまざまな形が存在する。その具体的な違いについて具体例を挙げながら解説する。(2024年5月18日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分19秒
収録日:2024年5月18日
追加日:2024年8月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●なぜ多細胞生物の配偶子は卵子と精子になったか


―― 今のお話でいうと、もともと一つの受精卵がどんどん分裂をして、多細胞の生物になっていく。その中のいろいろな器官、胃や肺なども生殖器も元は同じ細胞からできてくるということですね。このうち、生殖器の分かれ方はどのようになりますか。

長谷川 まずは水の中にいた生物が配偶子を外に出し、それが合体して次の世代になろうとすると、配偶子は、2つのタイプになってしまうのですね。大きくて動かない卵(卵子)と、小さくてたくさんありよく動く精子の2種類しかつくれなかった、あるいは残らなかったのです。

 中途半端な組み合わせよりも、一番起こりやすく、一番長生きできるのが、なるべく早く相手を見つけて合体することのできる、よく動く精子です。ただ、よく動こうとすると、軽くないといけないし、軽いと栄養を持てないから死にやすい。でも、小さいからたくさんつくれる。卵(卵子)のほうはたくさん栄養を持っているので長生きできる。存続はできるのだけれど、重いからあまり動けない。そうすると、そのどちらかに分かれる分断が起こります。小さい精子にするか、大きな卵子にするかに特化するしかなかったわけです。

 だから、(スライドを見ながら)こういうことですね。卵は大きくて栄養があり、精子は何もないのですが、中に入っている遺伝子に親の半分があるという点は同じで、栄養があるかないかの違いだけです。この二つ、長生きするのとよく走り回るのは、1配偶子の中では両立しないので、分業する、分断するということになってしまった。現在では、多細胞生物には卵(卵子)と精子という配偶子しかありません。

―― 今日のテーマの一つである「性差」というところでいうと、ずっと保持される卵子は栄養があるが、それほど動きがない。精子はたくさんできて、非常に運動能力は高いけれど、すぐ死んでしまう。そのあたりが性差に影響しているところはあるのでしょうか。

長谷川 ええ。性差がどのようにできるかは、場合によっていろいろあります。大事なのは、1個体の中で精子をつくる機能つまり雄機能と、卵(卵子)をつくる雌機能をどう持つかについてはいろいろなことがあり得るということです。

 いずれにしろ、混ぜ返す方法として「性」ということ...

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