ヒトはなぜ罪を犯すのか
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
罪とは何なのか?変容する罪の概念と迫られる善悪の判断
ヒトはなぜ罪を犯すのか(3)変容する文化と罪の本質
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
ヒトは社会生活を送る上で、文化的規範として規範・慣習・掟などを発展させてきた。しかし、文化は社会状況の変化とともに変容し、過去に容認されていたことが罪となることが多く、またその逆もしかりだ。法律は国民国家を支えるものだが、そのための「善悪」の線引きはけっして簡単ではない。罪にも普遍的罪、社会的罪、そして個人の内面による判断としての罪があり、それぞれどう捉えればいいのか。この大事な問いについて考えていきたい。(全3話中第3話)
時間:10分35秒
収録日:2023年12月11日
追加日:2024年3月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●文化とは何か――世代を超えて伝えられていく情報の総体


 さて、これまで一応は(ヒトは)何をするべきかということで、快を追求して不快を回避するのだけれど、そこに短期的・長期的、他人のこと・自分のことで、いろいろ葛藤があるのをどう考えているか、どう処理しているか、そういう脳の部分についてお話をしました。結構複雑になっています。

 次は文化(のお話)です。

 ヒトは、みんなで暮らしている。一緒に社会を作って暮らしているので、どうしたらいいかという「文化的規範」というものを持っています。そういう規範、慣習、掟のようなものがどのように発展してきたかというと、それは文化の変容なので、「文化進化」の研究というものがたくさんあります。

 では、結局「罪とは何か」となると、その社会において利害対立があり、それをどういう行動に至ったかによって犯罪としたり、犯罪ではないとしたりする。

 現代社会のような法律や警察がなかった時代では、みんながその文化や集団の中で一応許容しているものとするか、絶対に駄目だとそれを認めず、リンチのように「これは駄目です」とみんなで排除するのか、そういうことが法律ではなく習慣としてみんなで共有されていたわけです。

 そういうものが一つ一つ大きな文書として書かれ、それに基づくシステムが作られたのが、現在の国民国家であるわけです。

 では、文化とは何でしょう。これについて、動物の行動関係の研究では、「遺伝情報以外で、世代を超えて人々の間で伝えられていく情報の総体」を文化と呼んでいます。ある集団の構成員の全員に共有されていて、それが遺伝ではないのだけれど、そういう知識情報が世代を超えても伝えられていくもの。それを文化と呼びましょうと。

 ある集団に生まれてきた人にとっては、生まれたときからそういう文化があるわけですから、その文化が、適応するべき直接の環境となります。すなわち、日本人は日本文化の中に生まれてくるので、日本文化を取り入れ、それに適応していかなければ、日本社会ではうまく暮らせないことがたくさんあるわけです。

 自然環境に適応しなければいけないのも同様で、暑かったり寒かったり雨が降ったり、いろいろありますが、何よりヒトは自分を取り巻く文化に適応しないといけ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
西郷南洲のリーダーシップ(1)薩長同盟と江戸城無血開城
江戸城無血開城で日本の危機を救った西郷隆盛の問題解決力
田口佳史
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(21)中西輝政先生:アメリカの本質
【10min解説】独立250年、アメリカの理念と本質とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(4)生成化育と突破力
生成化育――「自ずと然り」のメッセージと「突破する力」の歓喜
田口佳史
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
「集権と分権」から考える日本の核心(4)荘園発生から武家の時代、王政復古へ
武士が推進した“私”の増殖…中央集権はいかに崩れたか
片山杜秀